東洋医学概論②~気・血・津液とは~

東洋医学では、人体を構成し、その生存を維持する基本的な要素を「気・血・津液」と表現しています。気・血・津液はそれぞれ独立しているわけではなく、相互に関連しています

今回は、この「気・血・津液」を解説していきます。

目次

気とは

気とは、機能のみに存在するもので、目には見えないもの。また、人体を作り、生命活動を維持する土台。

あざらし

少年ジャンプで出てくる‘‘オーラ‘‘的なものをイメージすれば、概ね正しいのかもしれない、、

人体の気は自然の清気水穀の精微先天の精のいずれかから生成されます。

自然の清気は呼吸で大気から取り込まれる気。
水穀の精微は飲食物から得られる気。
先天の精は生まれた時点で両親から受け継いだもので、腎に保存されている。

あざらし

要は、自然界に‘‘気‘‘は溢れていて、生まれたての赤ちゃんは両親から受け継いだ‘‘先天性の気‘‘がメインで構成されてるけど、成長過程で呼吸したり食事したりで外部から気を取り込んでいくことで、身体を構成する‘‘気‘‘自体が変化してるってことだね

気の種類と働き

気は大きく宗気、営気、衛気、原気の4つに分類され、肺、脾、腎で生成されます。

気の種類生成活動部位働き・機能
 原気 (元気)先天の精に後天の精が注がれて生成腎(丹田)から発し、三焦の働きにより、経絡を介して全身へ生命の原動力。食欲や性欲など欲求をもたらす。原気が旺盛なら五臓六腑の働きもよくて病気にかかりにくいらしい
宗気肺に吸入された清気と水穀の気が結合して生成胸部の中央肺の呼吸作用と心の血を循環させる機能。宗気が弱まると呼吸異常、語声が細くなり、心拍が弱まる
営気水穀の精微から作られる陰性の気と清気で生成血脈中にある気津液を血に変え、血と全身を循環し、臓腑や内外の器官に栄養を送る。
衛気水穀の精微から作られる陽性の気と清気で生成脈外を巡り、体表近くで活動外邪の侵入から全身を保護。肌を温め、汗腺コントロールして皮膚の収縮弛緩にかかわる。

気が持つ5つの作用

・推動作用・・・体内で気を動かす力
・防御作用・・・外的な害から体を守る気の能力
・温煦作用・・・体温を変換する気の能力
・気化作用・・・体を温めたり潤したりする気の能力
・固摂作用・・・体の健全性を維持する気の能力

気の不調

気によって生じる不調は、気の生成不足と消耗過多、機能減退などが原因となる気虚、気陥、気の停滞が生じる気滞、気の昇降出入りが失調する気逆の4つに分けられます。

気虚の症状・・・疲労感、集中力不足、食欲不振、血行不良など
気滞の症状・・・腹部の膨満感、げっぷ、おなら、精神的な抑うつ など
気逆の症状・・・イライラ、呼吸器の異常、吐き気など

あざらし

現代社会に生きる僕たちからすると‘‘気‘‘の概念を聞くと「ドラゴンボールかよ!!」ってツッコみたくなりますが、目に見えない形で‘‘気‘‘とされるものは自然界にあるんでしょうね。

血とは

赤血球、白血球などの概念はないが、血≠血液という認識でよい。

東洋医学において、血は「営気が津液と原気を取り込み、心の熱により赤くなって血(営血)となる」とされます。
営気=水穀の清気(脾の昇清作用)+清気(肺の呼吸作用)+津液で生成されます。

血の循環作用は、気の固摂作用+推動作用、脾の統血作用、心の推動作用、肝の疏泄作用+造血機能などが関わります。

あざらし

この辺の機能的概念は、西洋医学ベースで考えて、‘‘別概念として東洋医学的な要素もあるかなー‘‘くらいの認識でちょうどよいと思います。

血の持つ作用

滋養作用・・・全身に栄養を与える滋養作用により臓腑(臓器)、皮膚、筋肉、骨などまで、身体がスムーズに動く

寧静作用・・・精神を落ち着かせる作用。陽に属する気がある一方、血は陰の属性なので、血が気を静める。

血と気は陰陽の対比関係にあり、相互に関わっているため、血の不調は気の不調を伴うことが多い

血の不調

血虚(けつきょ)

症状・・・目のかすみ・渇き、動悸、月経不順、不眠健忘など

原因・・・脾や胃の機能低下や栄養不足。肝障害で血を貯蔵できない場合や失血など

血熱(けつねつ)

症状・・・発熱、各部出血、乾燥、皮膚のかゆみなど

原因・・・熱邪が血に作用して血液の循環不足で熱がこもってしまう

血唹(けつお)、血寒(けっかん)

症状・・・脳血管障害、眼下のクマ、顔のかすみ、神経痛など

原因・・・肝と心の循環作用の低下、寒邪や熱邪による血の停滞、悪い生活習慣など

津液とは

津液とは、血液以外のすべての体液を指します。

津液は津(=体表部を潤す)と液(=髄や骨や粘膜部を潤す)に分けられる。
五液を生成し、体温調節などにも関わります

津液の作用

関節の潤滑

五液の生成・・・汗(心の液)、鼻水(肺の液)、涙(肝の液)、よだれ(脾の液)、つば(腎の液)

骨髄、脳髄を潤す作用

津液の不調

内燥・・・肌や髪の乾燥、のど・鼻・口の渇き、関節の異常

内湿・・・めまい・吐き気、腹水、浮腫

温熱・・・多汗・暑がり、にきび、口喝、膀胱炎・大腸炎

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