筋肉トレーニング理論⑫|ベンチプレスで肩を壊す人の共通点


ベンチプレスは、胸を鍛える代表的なトレーニングです。

大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋をまとめて鍛えられるため、筋トレ初心者から上級者まで人気があります。

しかし一方で、

「ベンチプレスをすると肩が痛い」
「胸より先に肩に効いてしまう」
「重量を上げたら肩の前が痛くなった」
「ベンチの後に肩を上げると違和感がある」

という人も少なくありません。

結論からいうと、ベンチプレス自体が肩に悪いわけではありません。

問題は、肩に負担が集中するフォームや負荷設定で行っていることです。

今回は、ベンチプレスで肩を壊す人の共通点と、肩を守るための考え方を解説します。

目次

ベンチプレスで痛くなりやすい場所

ベンチプレスで痛みが出やすいのは、主に肩の前側です。

具体的には、

  • 肩の前がズキッと痛い
  • バーを下ろすと肩が詰まる
  • ベンチ後に腕を上げると痛い
  • 胸ではなく肩ばかり疲れる
  • 肩の奥に違和感がある

といった症状です。

このような痛みでは、腱板、上腕二頭筋長頭腱、肩峰下滑液包、肩鎖関節などに負担がかかっていることがあります。

ただし、痛みの原因を自分だけで正確に特定するのは難しいです。

大事なのは、痛みが出るフォームや負荷を一度見直すことです。

肩を壊しやすい人の共通点

ベンチプレスで肩を痛めやすい人には、いくつか共通点があります。

代表的なのは以下です。

  • グリップ幅が広すぎる
  • 肘が真横に開きすぎている
  • 肩甲骨が安定していない
  • バーを下ろす位置が高すぎる
  • 胸を張れず、肩が前に出ている
  • 重量を急に上げている
  • 痛みがあるのに続けている
  • 肩周囲のウォームアップ不足

特に多いのが、肩が前に出た状態でバーを下ろすフォームです。

この状態では、肩の前側に負担が集中しやすくなります。

胸を鍛えているつもりでも、実際には肩の前で受けてしまっていることがあります。

グリップ幅が広すぎると肩に負担がかかる

ベンチプレスでは、グリップ幅が広いほど高重量を扱いやすくなることがあります。

しかし、広すぎるグリップは肩への負担を増やす可能性があります。

2024年のベンチプレス技術に関するレビューでは、肩関節への反力にはグリップ幅や肩甲骨の姿勢が影響し、グリップ幅の変化は肩関節モーメントにも関係するとされています。(PMC)

また、古くからワイドグリップは肩の前方不安定性や肩周囲の障害リスクを高める可能性が指摘されています。(ResearchGate)

もちろん、ワイドグリップが全員に悪いわけではありません。

ただし、肩の前側が痛い人や、肩が詰まる感覚がある人は、まずグリップを少し狭くしてみる価値があります。

目安としては、バーを下ろしたときに前腕が床に対して大きく傾きすぎない幅です。

肘を真横に開きすぎない

ベンチプレスで肩を痛める人は、肘が真横に開きすぎていることがあります。

肘を90度近く横に開いた状態でバーを下ろすと、肩の前側にストレスがかかりやすくなります。

一方で、肘を軽く体側に寄せると、肩への負担を減らしやすくなります。

ただし、肘を閉じすぎると今度は上腕三頭筋への負荷が強くなり、胸に効きにくくなります。

大事なのは、

肘を真横に開きすぎず、自然に少し下げること

です。

胸を張り、肩甲骨を安定させた状態で、肘が斜め下に向くくらいを目安にするとよいです。

肩甲骨を安定させる

ベンチプレスで肩を守るうえで非常に重要なのが、肩甲骨です。

肩甲骨が不安定なまま押すと、肩関節だけで負荷を受けやすくなります。

ベンチプレスでは、

  • 肩甲骨を軽く寄せる
  • 肩甲骨を下げる
  • 胸を張る
  • 肩をすくめない

ことが重要です。

これにより、肩の前側が過度に前に出るのを防ぎ、大胸筋を使いやすくなります。

肩峰下痛症候群のガイドラインでも、運動療法では姿勢や肩甲骨の安定化を含めたアプローチが重要とされています。(PMC)

つまり、肩の痛み対策では、肩だけでなく肩甲骨の動きも見直す必要があります。

バーを下ろす位置が高すぎる

ベンチプレスで肩が痛い人は、バーを首に近い位置へ下ろしていることがあります。

バーを高い位置に下ろすと、肩が外転・外旋した状態になりやすく、肩の前側に負担がかかりやすくなります。

一般的には、バーは鎖骨付近ではなく、胸の下部〜みぞおち寄りに下ろす方が肩に優しいことが多いです。

もちろん、体格や腕の長さによって最適な位置は違います。

しかし、肩が痛い人は、

首に近い位置へ下ろしすぎていないか

を確認してみてください。

可動域を無理に広げすぎない

ベンチプレスでは、バーを胸につけることが基本とされることが多いです。

競技として行う場合は、ルール上必要になることもあります。

しかし、一般的な筋トレや健康目的であれば、痛みを我慢してまで胸につける必要はありません。

肩の柔軟性や胸郭の形、腕の長さによっては、深く下ろすほど肩の前側に負担がかかる人もいます。

その場合は、

  • 可動域を少し浅くする
  • ダンベルプレスに変える
  • フロアプレスにする
  • プッシュアップに変える
  • マシンチェストプレスにする

といった調整も選択肢です。

筋トレの目的は、特定の種目にこだわることではありません。

痛みなく胸を鍛えられる方法を選ぶことが大切です。

肩が痛いときにやってはいけないこと

肩が痛いときに一番避けたいのは、痛みを無視して同じフォームで続けることです。

特に、

  • ウォームアップしても痛い
  • 重量を下げても痛い
  • バーを下ろすたびにズキッとする
  • ベンチ後も肩の痛みが残る
  • 日常生活でも腕を上げると痛い

このような場合は、いったんベンチプレスを中止または変更した方がよいです。

肩峰下痛に対する保存療法では、運動療法が第一選択として推奨されていますが、痛みを悪化させる動作を無理に続けることはおすすめできません。運動療法は、痛みを見ながら段階的に行う必要があります。(日本理学療法士協会)

肩を守るための代替種目

ベンチプレスで肩が痛い場合、無理にバーベルにこだわる必要はありません。

代替種目としては、以下があります。

  • ダンベルプレス
  • インクラインを浅めにしたダンベルプレス
  • マシンチェストプレス
  • 腕立て伏せ
  • フロアプレス
  • ケーブルフライ
  • ニュートラルグリップのプレス

ダンベルプレスは、手の角度を調整しやすいため、肩に合うポジションを探しやすいです。

フロアプレスは可動域が制限されるため、肩の前側への負担を減らしやすいことがあります。

マシンチェストプレスは軌道が安定しているため、初心者や肩に不安がある人にも使いやすいです。

肩を痛めないためのチェックポイント

ベンチプレスで肩を守るためには、次のポイントを確認しましょう。

  • グリップ幅が広すぎないか
  • 肘が真横に開きすぎていないか
  • 肩甲骨を寄せて下げられているか
  • 肩がすくんでいないか
  • バーを首に近い位置へ下ろしていないか
  • 胸を張れているか
  • 痛みがあるのに重量を上げていないか
  • ウォームアップをしているか

特に、肩の前側が痛い人は、

グリップ幅・肘の角度・肩甲骨・バーの位置

の4つを見直すだけで、痛みが軽くなることがあります。

まとめ

ベンチプレスは、胸を鍛える非常に優れたトレーニングです。

しかし、フォームや負荷が合っていないと、肩を痛める原因になります。

肩を壊しやすい人の共通点は、

  • グリップ幅が広すぎる
  • 肘が真横に開きすぎる
  • 肩甲骨が安定していない
  • バーを首に近い位置へ下ろす
  • 肩が前に出たまま押している
  • 重量を急に上げる
  • 痛みを無視して続ける

ことです。

肩を守るためには、

  • 肩甲骨を寄せて下げる
  • 胸を張る
  • 肘を開きすぎない
  • グリップ幅を調整する
  • バーを下ろす位置を見直す
  • 痛みのない可動域で行う
  • 必要なら代替種目に変える

ことが大切です。

ベンチプレスは、重さを競うだけの種目ではありません。

肩を守りながら、大胸筋にしっかり負荷を入れること

が重要です。

肩の痛みを我慢して続けると、長期間トレーニングできなくなることもあります。

痛みがあるときほど、無理に重量を追わず、フォームと負荷を見直しましょう。

筋トレは、ケガをしないで続けられる人が最終的に一番強くなります。


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