先週は手指PIP関節拘縮の患者さんの関節授動術を行いました。
今回は、手指の関節で大事なPIP関節の関節授動術について簡単に解説します。
手術した屈曲拘縮(伸展制限)をメインに取り上げます。
PIP関節屈曲障害の原因
1.指背の瘢痕
2.伸展腱の拘縮、および癒着
3.骨格筋の拘縮
4.Interosseous tendonの癒着
5.Retincular lig.と関節嚢の癒着
6.Volar plate と基節骨との癒着
7.骨・関節の異常
どの部位が原因で拘縮を生じているのかをしっかり見極めます。
拘縮の原因箇所をしっかり、切離・切除してリリースしてあげることが大事になります。
PIP関節伸展障害の原因
1.掌側の瘢痕
2.腱膜の拘縮
3.屈筋、屈筋腱の拘縮
4.Volar plateの拘縮・癒着
5.Retinacular lig.と側副靭帯の癒着
6.側副靭帯の癒着・拘縮
7.骨性異常
こちらも拘縮の原因箇所をしっかり見極めます。
多くは4,6の側副靭帯やVolarの癒着です。副靭帯は切離しますが、Volarまで切らないと駄目なことが多いようです。
手術手技
今回経験したPIP関節屈曲拘縮の手技について。
まず、執刀する上で大事な点
①指神経・血管を剥離してしっかり特定して損傷しないように
②側副靭帯を切りすぎると不安定性がでるので、一部にとどめる
③C1~A3~C2 pullyまでは切除してもよい(A2は切らないように)
①は関節の横(FDSと側副靭帯の間)から入るので、術中も結構傷つけやすいなと感じました。
②はそもそも側副靭帯と副靭帯の境が分かりにくい。
③は腱鞘の癒着があれば切ることもありますが、なければ基本は温存。
以下、津下‘‘大先生‘‘の「私の手の外科より」
まずは副靭帯をこんな感じで切離して関節内へ。正直側副靭帯との境が分かりにくいので、なんとなくで切ってます。
側副靭帯も基節骨との癒着を剥ぐように剥離します。側副靭帯の拘縮があれば切離することもあるみたい。
その後、こんな感じで横から関節包を切って関節内へ。
volar plate(掌側板)と中手骨の癒着を剥いだりしますが、多くは掌側板が拘縮していますので、掌側板を切離または切除する必要があります。
僕は掌側板の中手骨付着部付近で横に切離してます。
掌側板を切ると伸展側の不安定性が出そうですが、そのうち瘢痕でくっつきますんで、あんまり気にしなくていいみたい。
K-wireで固定する方もいるようですが、シーネで伸展位固定としました
おまけ
・術後成績は術中に得た可動域の60%程度に落ち着くようです。やはり完全回復は難しいんですね。
・術後は早期にROM訓練
・まれに骨格筋の癒着・拘縮が原因の時もあるので、見逃さないように。
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