関節症疾患で使われるPRP療法、APS療法ってご存じ??本当に効くの??最新の知見も踏まえて解説

どーも、こんにちは。あざらしです。

今回は、2022年現在自費診療として行われるPRP療法について解説していきます。

PRP(Platelet rich plasma )=多血小板血漿

APS(Autologous Protein Solution)=自己タンパク質溶液

のことで、再生医療の一環になります。

整形外科領域では、変形性膝関節症の治療として認定の施設・クリニックで使われています。

ほかにも皮膚科などの美容分野でも自費診療として行われます。

医療者であっても、整形外科や皮膚科医とかでなければ

PRPとは何ぞや?

となる方もいると思います。

今回は、2022年現在、自費診療として行われているPRP療法について解説します

目次

PRPとは

PRP(Platelet rich plasma )=多血小板血漿の略

全血を遠心分離して得られる血小板を多量に含有する血漿分画」です。

この濃縮血小板に含まれるさまざまな成長因子や接着因子・糖蛋白が、組織損傷に作用すると考えられており、治療に用いられます。

簡単に説明すると

「採血した血液を遠心分離機で分離して、血小板が多く含まれる部分をお肌や関節に注射すると組織修復効果があるんじゃね?」

ってことです。

1994年頃から治療として用いられていて、整形外科分野で用いられ始めたのも2000年以降になりますので、比較的歴史の浅い治療になります。

再生医療の一環として扱われますが、iPS細胞みたいにどんな細胞にも分化できる幹細胞を使うわけでなく、血液という体細胞を利用したものになります。

後に説明しますが、厳密には損傷された組織が再生する!、、、とまでは言えません。

精製過程は

①自己末梢血採血(血液を採取)

②遠心分離

③分離されたものを抽出

④活性化

の主に4工程で行われます。

PRPは、体内の治癒プロセスを刺激して健康な組織を再生させることで、痛みを軽減し、関節や組織の機能を改善する可能性がありますが、まだ発展途上の研究分野です。

PRPの調整法と種類

PRPには種類があります。

主には、白血球の含有が豊富な「Leukocyte rich PRP」と白血球の含有が少ない「Leukocyte poor PRP」の2つに分けられます。白血球が豊富な方が血管新生に有利なんじゃないか?って意見もありますが、一方で注射後に腫れやすいなどのデメリットもあります。

白血球含有率の他に、血小板濃度や活性化の有無でも種類が分けれます。

PRPと一言でいってもいろんな種類があるんだね。

PRPの分類もいろんな人がさまざまな分類を提唱しており、統一された分類はまだありません。

PAW分類やMishraらが提唱されている分類があります。

例)Mishraの分類

白血球の有無活性の有無血小板濃縮率
Type1A:5倍以下
B:5倍以上
Type2+A:5倍以下
B:5倍以上
Type3A:5倍以下
B:5倍以上
Type4+A:5倍以下
B:5倍以上
あざらし

どの分類も白血球数、活性化の有無、血小板濃度で分類されてますね。

おまけ

血漿由来成分濃縮物-凍結乾燥(PFC-FD)を使う施設もあります。

こちらは凍結乾燥させたり作成過程でフィルタリングするため、細胞成分が除去される‘‘いわゆるセルフリー‘‘の状態となるもの。

常温保存可能であったり、患者さんの注射日が自由に選べるというメリットがあります。

最大のメリット(?)はセルフリーの状態になるので、再生医療等安全確保法の規定から除外されること。施設にとって取り扱いや導入のハードルが下がります。

PRPの作用機序、再生効果について

再生医療の一つになっているPRPですが、実際注射で関節軟骨などが再生するかはかなり微妙なとこ

実験上でPRPの成分を使用すると組織修復がされた、、とする報告はありますが、PRPの注射で組織修復が期待できるというわけでもなさそうです。

特に荷重関節部だと成分が留まりにくいので組織修復はあまり期待できないようです。荷重関節部以外では軟骨が修復されたとする報告はあります(お肌の組織再生の有無に関しては調べていませんので、前述の限りではありません)

現時点では組織修復でなく、PRPに含まれる抗炎症サイトカインなどが作用して鎮痛効果があるというのが主な作用

とある報告だと
初期から~中期の関節OAで除痛効果が期待できるかも?という状態。
末期のOAに対しては、近年話題の間葉系幹細胞注射の方が除痛効果がありそう(?)とする意見があります。

一方で、除痛効果もないとする報告も多数あり、除痛効果に関しても依然はっきりしてません
おそらくPRPの抽出度ごとに区分分けした研究がされていないのが原因で、今後の研究が期待されます。

APS とは?

APS=autologous protein solution、自己蛋白質溶液のこと。

次世代PRPともいわれます。

APSはL-PRPにポリアクリルアミドビーズによる脱水処理を加えることで血漿成分や成長因子、サイトカインなどを濃縮した溶液になります。

なんだかかっこよく聞こえますが、PRPを濃縮しただけってことだね

PRPを濃縮することで従来PRPよりも更なる効果が期待されていますが、現時点では有効性に差があるかははっきりしていません。

あざらし

個人的にはAPSより脂肪由来の間葉系幹細胞を用いた治療の方がいい気がしちゃいますね。

まとめ

・PRPとAPSはどちらも関節炎疾患の治療に用いられる比較的新しい治療法

・PRPとAPSで効果に違いがあるかはこれからの研究課題

・PRPの除痛効果の有無、作用機序はまだ解明できていないことも多い

・PRPを「再生医療」と言うには言い過ぎ

・CM関節など荷重関節でなければ軟骨修復も期待できるかも?

以上になります。

個人的には、PRPやAPSより脂肪由来間葉系幹細胞注射に期待。お値段や取扱施設からもPRPの方が手軽なので、2022年現時点では軽度OAであればPRP、中等度以降のOAであれば脂肪由来間葉系幹細胞注射の方がいいのかも?と思ってます。

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