筋肉トレーニング理論⑪|スクワットで膝を痛める人、痛めない人の違い

スクワットは、筋トレの代表的な種目です。

太もも、お尻、体幹をまとめて鍛えることができ、健康維持、ダイエット、筋力アップ、スポーツ能力向上まで幅広く使われます。

しかし一方で、

「スクワットをすると膝が痛い」
「膝に悪そうで怖い」
「膝がつま先より前に出てはいけないのでは?」

と感じている人も多いと思います。

結論からいうと、スクワット自体が膝に悪いわけではありません。

問題は、その人の筋力・柔軟性・フォーム・負荷量に合っていないスクワットをしていることです。

今回は、スクワットで膝を痛める人と痛めない人の違いについて解説します。

目次

スクワットは膝に悪いのか?

まず大前提として、スクワットは正しく行えば非常に優れたトレーニングです。

膝を曲げ伸ばしするため、膝関節に負荷はかかります。
しかし、負荷がかかること自体が悪いわけではありません。

筋肉も骨も腱も関節も、適切な負荷に適応します。

問題なのは、

  • 重量が重すぎる
  • 回数が多すぎる
  • フォームが崩れている
  • 可動域が合っていない
  • 痛みを無視して続けている

といった場合です。

スクワットは「膝に悪い運動」ではなく、やり方によって膝に良くも悪くもなる運動です。

膝がつま先より前に出たらダメ?

スクワットでよく言われるのが、

「膝をつま先より前に出してはいけない」

というルールです。

これは完全に間違いとは言い切れませんが、絶対ルールでもありません。

膝が前に出るほど、膝関節への負荷は増えやすくなります。
一方で、膝を無理につま先より後ろに保とうとすると、股関節や腰への負担が増えることもあります。

実際、スクワットのバイオメカニクスをまとめたレビューでも、上体を立てたスクワットでは膝伸展モーメントが増えやすく、体幹を少し前傾させると股関節への負荷が増え、膝への負荷は相対的に下がりやすいと整理されています。(PMC)

つまり、大事なのは、

膝を絶対に前に出さないことではなく、膝・股関節・足首を自然に使うこと

です。

膝が多少つま先より前に出ても、痛みがなく、フォームが安定していれば問題ないことも多いです。

膝を痛めやすいフォーム

スクワットで膝を痛めやすいフォームには、いくつかの共通点があります。

代表的なのは以下です。

  • 膝が内側に入る
  • つま先と膝の向きがずれている
  • かかとが浮く
  • 体幹が丸まる
  • 重量が重すぎる
  • しゃがむ深さが合っていない
  • 反動を使っている
  • 痛みがあるのに続けている

特に注意したいのは、膝が内側に入るフォームです。

スクワット中に膝が内側へ入ると、膝前面や内側への負担が増えやすくなります。

これは、股関節まわりの筋力不足、足首の硬さ、足部アーチの低下、フォーム習得不足などが関係していることがあります。

膝を痛めにくいフォームの基本

膝を痛めにくいスクワットで大切なのは、以下のポイントです。

  • 膝とつま先の向きをそろえる
  • 足裏全体で床を押す
  • かかとを浮かせない
  • 股関節からも動く
  • 体幹を安定させる
  • 痛みのない範囲でしゃがむ
  • 重量を急に増やさない

スクワットは、膝だけで行う運動ではありません。

股関節、膝関節、足関節を連動させる運動です。

膝だけを大きく曲げようとすると、膝への負担が集中しやすくなります。

一方で、股関節を使い、お尻を少し後ろに引きながらしゃがむと、太もも前だけでなく、お尻や太もも裏も使いやすくなります。

深くしゃがむほど膝に悪い?

深くしゃがむスクワットは、必ずしも悪いわけではありません。

柔軟性、筋力、フォームが十分にあり、痛みがなければ、深いスクワットも有効なトレーニングになります。

ただし、膝前面の痛みがある人や、膝蓋大腿関節に症状がある人では、深くしゃがむほど膝前面への負荷が増えやすいです。

スクワットのレビューでは、膝蓋大腿関節ストレスは浅いスクワットから中等度の深さにかけて増加し、膝蓋大腿痛がある人には浅め〜中等度のスクワットが勧められる場合があるとされています。(ijspt.scholasticahq.com)

つまり、深さは一律に決めるものではありません。

痛みがない範囲で、フォームが崩れない深さ

から始めるのが基本です。

膝が痛い人はスクワットをやめるべき?

膝が痛いからといって、必ずしもスクワットを完全にやめる必要はありません。

ただし、痛みを無視して同じやり方を続けるのはよくありません。

膝が痛い場合は、まず以下を調整します。

  • 深さを浅くする
  • 重量を下げる
  • 回数を減らす
  • スピードをゆっくりにする
  • フォームを見直す
  • レッグプレスなどに変更する
  • 椅子スクワットにする

膝前面の痛み、いわゆる膝蓋大腿痛では、股関節と膝を組み合わせた運動療法が推奨されています。2024年の膝蓋大腿痛の臨床ガイドラインでも、股関節と膝を対象にした運動療法は、痛みや機能改善に有効とされています。(ifspt.org)

つまり、膝が痛いから筋トレは全部ダメ、ではありません。

痛みを悪化させない形に調整して鍛えることが重要です。

スクワットで膝が痛いときのチェックポイント

スクワットで膝が痛いときは、次の点を確認してみてください。

  • 膝が内側に入っていないか
  • つま先と膝の向きが合っているか
  • かかとが浮いていないか
  • 重量が重すぎないか
  • 深くしゃがみすぎていないか
  • 反動を使っていないか
  • 疲れてフォームが崩れていないか
  • 前回から急に量を増やしていないか

痛みが出る場合は、まず重量と深さを調整するのが分かりやすいです。

たとえば、深くしゃがむと痛いなら、浅めのスクワットにする。
バーベルで痛いなら、自重スクワットやゴブレットスクワットにする。
通常のスクワットで痛いなら、椅子に座るようなボックススクワットにする。

このように、種目を工夫すれば、膝への負担を調整できます。

初心者におすすめのスクワット

初心者や膝に不安がある人は、いきなりバーベルスクワットをする必要はありません。

まずは以下のような種目がおすすめです。

  • 椅子スクワット
  • ボックススクワット
  • 自重スクワット
  • ゴブレットスクワット
  • レッグプレス
  • スプリットスクワット

特に椅子スクワットは、しゃがむ深さを一定にしやすく、初心者にも向いています。

「椅子にゆっくり座る」
「反動を使わず立ち上がる」

これだけでも、太ももやお尻には十分な刺激が入ります。

慣れてきたら、少しずつ深さや負荷を増やしていきましょう。

スクワットで膝を守るための考え方

スクワットで膝を守るには、フォームだけでなく、負荷管理も重要です。

次のポイントを意識しましょう。

  • 最初は自重から始める
  • 重量は少しずつ増やす
  • 痛みがある日は軽めにする
  • 同じ部位を連日追い込まない
  • ウォームアップを行う
  • 股関節と足首の動きも確認する
  • 疲れている日は無理に重量を狙わない

特に、久しぶりに筋トレを再開した人は注意が必要です。

筋肉はまだ動けるように感じても、腱や関節が負荷に慣れていないことがあります。

「筋肉は大丈夫だけど膝が痛い」という状態は、負荷の上げ方が早すぎるサインかもしれません。

まとめ

スクワットは、膝に悪い運動ではありません。

正しく行えば、太もも、お尻、体幹を鍛えられる非常に優れたトレーニングです。

ただし、フォームや負荷が合っていないと、膝を痛める原因になります。

スクワットで膝を痛めやすい人の特徴は、

  • 膝が内側に入る
  • つま先と膝の向きがずれる
  • かかとが浮く
  • 深くしゃがみすぎる
  • 重量を急に増やす
  • 痛みを無視して続ける

ことです。

一方で、膝を痛めにくい人は、

  • 膝とつま先の向きをそろえる
  • 足裏全体で床を押す
  • 股関節も使う
  • 痛みのない範囲でしゃがむ
  • 重量を少しずつ増やす
  • 疲労や痛みに合わせて調整する

ことができています。

スクワットで大切なのは、膝を絶対に前に出さないことではありません。

自分の体に合ったフォームと負荷で、痛みなく続けることです。

スクワットは、正しく使えば膝を壊す運動ではなく、膝を支える筋力を作る運動になります。

無理に重さを追い求めず、まずは痛みのない範囲で、丁寧に続けていきましょう。


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