2026年(第38回)整形外科専門医試験解答&解説【問76-100】

前回(問51-75)の続き。今回は問76-100で第38回シリーズの最終回。骨折・スポーツ・腫瘍・装具・社会保障・保険診療と総合問題が並びます。

問76 65歳男性.階段転落で頚部痛と両上下肢脱力.Frankel C麻痺.頚椎単純X線側面像.初期の対応として正しいのはどれか.2つ選べ.

a 直ちに気管切開を行う.
b 覚醒下で非観血的整復を行う.
c 造影CTで椎骨動脈を評価する.
d 動態撮影で不安定性を評価する.
e 麻痺回復の程度を確認してから手術を検討する.

第38回問76 頚椎単純X線側面像

解答:b, c
解説:

頚椎脱臼骨折+不全麻痺。
b○ 覚醒下non-operative reduction(Gardner-Wells牽引)は標準。麻痺の評価が可能な状態で行う。
c○ 頚椎骨折・脱臼では椎骨動脈損傷の合併が多く造影CTAで評価
a× 気管切開の即時適応はない。
d× 不安定な頚椎で動態撮影は禁忌。
e× 麻痺進行を待つのではなく、早期除圧・固定が原則。

問77 高齢者の肩関節脱臼について正しいのはどれか.

a 90%が再脱臼を起こす.
b しばしば腱板断裂を起こす.
c 最も多いのは腋窩脱臼である.
d 若年層よりもBankart損傷を生じやすい.
e 神経の合併症として橈骨神経麻痺が多い.

解答:b
解説:

b○ 高齢者の肩関節脱臼の特徴は腱板断裂の合併。高齢になるほど腱板が弱く、整復後に腱板断裂が顕在化することが多い。
a× 高齢者の再脱臼率は20%程度。若年者の方が再脱臼率が高い(80%超)。
c× 最も多いのは前方脱臼
d× Bankart損傷(前下方関節唇剥離)は若年者に多い。
e× 神経合併症は腋窩神経麻痺(橈骨神経ではない)。

問78 28歳男性.柔道で右肩から落下.右鎖骨X線正面・斜位像.正しいのはどれか.2つ選べ.

a piano key signがみられる.
b 中央1/3の骨折は稀な骨折型である.
c 近位骨片は胸鎖乳突筋に牽引され上方に転位している.
d 烏口鎖骨靱帯の断裂が疑われる.
e 手術療法の適応である.

第38回問78 右鎖骨X線

解答:c, e
解説:

鎖骨中央1/3骨折で短縮・転位あり。
c○ 近位骨片は胸鎖乳突筋に牽引されて上方転位、遠位骨片は上肢重量で下方転位。
e○ 短縮(>2cm)・粉砕・皮膚突出など手術適応所見あり。
a× piano key signは肩鎖関節脱臼の所見。
b× 中央1/3骨折は鎖骨骨折の約80%で最多
d× 烏口鎖骨靱帯断裂は肩鎖関節脱臼の特徴。

問79 55歳男性.手関節X線正面像・CT冠状断像.この疾患について誤っているのはどれか.

a 舟状月状骨間靱帯損傷がある.
b 月状骨は背屈変形を起こす.
c 近位手根列切除の適応がある.
d 部分手関節固定術の適応がある.
e 舟状月状骨間靱帯修復の適応がある.

第38回問79 手関節X線・CT

解答:e
解説:

SLAC wrist(scapholunate advanced collapse)の進行例。
e× 進行例(OA変化進行)ではSL靱帯修復は適応外。靱帯修復は急性期〜早期病変のみで、SLACに至った時点ではPRC・4-corner fusionなどのサルベージ術へ。
a, b○ SL解離→月状骨DISI(背屈変形)。
c, d○ PRC(近位手根列切除)・4-corner fusion(部分関節固定)はSLAC stage IIb〜III/IVの代表的サルベージ術。

問80 手関節CT横断像.この骨折の病態と治療について誤っているのはどれか.

a 野球のバットなどスポーツ用具で受傷することが多い.
b 小指屈筋腱損傷を合併するリスクがある.
c 尺骨神経損傷を合併するリスクがある.
d 単純X線正面像が診断に有用である.
e 骨片切除の適応がある.

第38回問80 手関節CT横断像

解答:d
解説:

有鈎骨鈎(hook of hamate)骨折
d× 単純X線正面では検出困難。carpal tunnel view(手根管軸位像)またはCTが診断に必須
a○ ゴルフ・野球・テニスなどグリップを握るスポーツで多い。
b○ 屈筋腱(特に小指深指屈筋FDP)の摩擦・断裂リスク。
c○ Guyon管内で尺骨神経麻痺リスク。
e○ 偽関節例・有症状例では有鈎骨鈎切除が標準治療。

問81 52歳男性.脚立から転落.受傷直後の骨盤X線正面像.正しいのはどれか.2つ選べ.

a 骨盤輪骨折である.
b 異所性骨化の発生に注意する.
c 股・膝関節を90度屈曲位で牽引し整復する.
d 骨折型を正確に把握するためにはCT検査が必須である.
e Young-Burgess分類が用いられる.

第38回問81 骨盤X線正面像

解答:b, d
解説:

寛骨臼骨折(骨盤輪骨折ではない)。
b○ 寛骨臼骨折術後は異所性骨化の発生率が高い(特にKocher-Langenbeck approach)。
d○ Letournel-Judet分類のためにはCTでの骨折線評価が必須
a× 骨盤輪ではなく寛骨臼骨折
c× 屈曲位牽引整復は股関節脱臼の手技。寛骨臼骨折の整復ではない。
e× Young-Burgess分類は骨盤輪骨折の分類。寛骨臼にはLetournel-Judet。

問82 非定型大腿骨骨折において確認しておくべき項目はどれか.2つ選べ.

a 全身感染症の既往
b 高血圧治療薬の服用歴
c 骨粗鬆症治療薬の服用歴
d 同側下腿単純X線写真
e 反対側の大腿単純X線写真

解答:c, e
解説:

非定型大腿骨骨折(AFF)はビスホスホネート・デノスマブ長期使用が背景にあるため:
c○ 骨粗鬆症治療薬の服用歴を必ず確認。
e○ 反対側大腿のX線で対側に前駆病変(lateral cortical thickening)がないかを確認。両側性発症が多い。
aの感染、bの高血圧薬、d下腿X線は直接関連が薄い。

問83 56歳男性.自動車運転中の追突事故.右下腿肉眼所見と右膝関節X線正面・側面像.次に行うべき対応として適切なのはどれか.3つ選べ.

a 末梢動脈の触診
b コンパートメント内圧測定
c 即時内固定
d 一時創外固定
e 長下肢ギブス固定

第38回問83 右下腿・膝関節X線

解答:a, b, d
解説:

高エネルギー外傷の脛骨プラトー骨折+下腿腫脹疑い。
a○ 足背・後脛骨動脈の触診で血管損傷スクリーニング(膝後方転位は膝窩動脈損傷リスク)。
b○ コンパートメント症候群の評価=区画内圧測定(ΔP < 30mmHgで筋膜切開)。
d○ 軟部組織状態が悪い場合は一時創外固定→二期的内固定
c× 即時内固定は軟部状態が悪く感染リスクが高い。
e× ギプス固定だけでは関節面整復・固定が不十分。

問84 脛骨骨幹部骨折について正しいのはどれか.2つ選べ.

a 開放骨折になりやすい.
b 横骨折は介達外力で生じる.
c 外旋骨折では近位骨片尖部は外側にある.
d 螺旋骨折では腓骨骨折が同レベルで生じる.
e 遠位1/3の螺旋骨折では足関節後果骨折の合併に注意する.

解答:a, e
解説:

a○ 脛骨は皮下に位置するため開放骨折になりやすい
e○ 脛骨遠位1/3螺旋骨折は足関節後果骨折を高率に合併(CT必須)。
b× 横骨折は直達外力(打撃)。介達外力は螺旋骨折を生じる。
c× 外旋骨折の近位骨片尖部は内側
d× 螺旋骨折では腓骨骨折は異なるレベルに生じる(同レベルになるのは直達外力)。

問85 踵骨骨折について正しいのはどれか.3つ選べ.

a 無腐性壊死を起こしやすい.
b 脊椎骨折の合併に注意する.
c 体部骨折ではBöhler角は増加する.
d 踵骨隆起上方の裂離骨折では皮膚障害が生じやすい.
e 舌状型骨折(Essex-Lopresti 分類tongue type)は関節内骨折である.

解答:b, d, e
解説:

b○ 高所転落による踵骨骨折は胸腰椎圧迫骨折の合併を必ずスクリーニング。
d○ 舌状型骨折で骨片が突き上げて皮膚壊死を起こすことあり。
e○ Essex-Lopresti tongue typeは後距踵関節を含む関節内骨折
a× 踵骨は血流豊富で無腐性壊死は起こりにくい
c× 体部圧潰骨折ではBöhler角は減少(正常20-40°)。

問86 末梢神経損傷について誤っているのはどれか.

a 神経断裂では神経縫合の適応がある.
b 一過性神経伝導障害では自然回復する.
c 神経外剝離術では周囲組織と神経上膜を剝離する.
d 軸索断裂は神経周膜損傷の有無で回復具合が異なる.
e 人工神経移植では50mmの神経欠損まで適応がある.

解答:e
解説:

e× 国内承認の人工神経の適応は神経欠損30mm程度まで(一部製品で30mm以下)。50mmは長すぎる。30mm超は自家神経移植(腓腹神経など)。a〜dは正しい:神経断裂は端々縫合、neurapraxiaは自然回復、external neurolysis、axonotomesisは神経周膜の保持で予後が変わる。

問87 腕神経叢損傷について誤っているのはどれか.

a 引き抜き損傷では髄膜瘤を認める.
b 節後損傷ではHorner徴候を認める.
c 上位型麻痺では肘屈曲が障害される.
d 下位型麻痺では手指機能の障害が生じる.
e 全型麻痺では遊離筋肉移植術の適応がある.

解答:b
解説:

b× Horner徴候は節前損傷(preganglionic injury, 神経根が脊髄付近で引き抜かれる)の所見。星状神経節(交感神経T1)が一緒に損傷されるため。節後損傷ではHorner陰性。
a○ 節前損傷でmeningocele(髄膜瘤)形成。
c○ Erb麻痺(C5-6)で肘屈曲・肩外転障害。
d○ Klumpke麻痺(C8-T1)で手内筋・手指機能障害。
e○ 全型麻痺の機能再建に遊離筋肉移植(薄筋移植等)。

問88 拳の突きによって起こる手の損傷について正しいのはどれか.

a ボクサー骨折は第3中手骨が最も多い.
b ボクサー骨折は背側凸変形を生じやすい.
c ボクサー骨折の整復はMP関節伸展位で患指を牽引する.
d ボクサーズナックルの損傷部位は側索である.
e 手根中手こぶにより小指屈筋腱皮下断裂を生じやすい.

解答:b
解説:

b○ ボクサー骨折(中手骨頸部骨折)は掌側に骨折線が開き、頭側が掌側に屈曲=背側凸変形
a× ボクサー骨折は第5中手骨が最多(第4も含む)。
c× 整復はJahss手技(MP・PIP屈曲位)。伸展位牽引ではない。
d× ボクサーズナックルの損傷部位は矢状索(sagittal band)。側索ではない。
e× 手根中手こぶ(carpometacarpal boss)は伸筋腱の刺激で症状を起こすが、屈筋腱断裂とは結びつかない。

問89 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(野球肘)について誤っているのはどれか.

a 好発年齢は10〜16歳である.
b 投球動作のフォロースルー期が発症に影響する.
c 単純X線検査では肘関節45度屈曲位正面像が重要である.
d 透亮期,分離期,遊離期に分類される.
e 小学生の発症予防には1日50球の全力投球制限がある.

解答:b
解説:

b× 上腕骨小頭OCDは加速期(acceleration phase)に外反ストレスで生じる外反トルク負荷が主因。フォロースルー期ではない(フォロースルー期は減速期で内側肘の牽引ストレス)。a〜eは正しい:成長期発症、45°屈曲位正面像で病変描出、3段階分類、日本臨床スポーツ医学会推奨の小学生50球制限。

問90 股関節周囲のスポーツ損傷について正しいのはどれか.3つ選べ.

a 長距離走は坐骨, 恥骨疲労骨折の原因となる.
b 腸骨翼骨折は外腹斜筋の収縮力により発生する.
c 下前腸骨棘裂離骨折は大腿筋膜張筋の収縮力により発生する.
d 大腿骨頚部に生じる横断型疲労骨折は高齢者より若年者に多い.
e 骨盤裂離骨折の中で最も頻度が高いのは上前腸骨棘裂離骨折である.

解答:a, b, e
解説:

a○ 長距離走による反復負荷で恥骨・坐骨疲労骨折(特に女性アスリート)。
b○ 腸骨翼裂離骨折は外腹斜筋の付着部から発生。
e○ 骨盤裂離骨折で最多は上前腸骨棘(ASIS)の縫工筋牽引
c× 下前腸骨棘裂離は大腿直筋(大腿筋膜張筋ではない)。
d× 大腿骨頚部の横断型(tension side, 上面)高齢者に多い不顕性骨折。若年者では下面の圧迫型が多い。

問91 15歳男子.右膝関節痛.膝関節X線正面像・MRI脂肪抑制T2冠状断像.正しいのはどれか.

a 円板状半月板の合併を疑う.
b 病変部は不安定化している.
c 診断の補助として遺伝子診断を用いる.
d 膝関節ストレスX線側面像が有用である.
e 自家培養軟骨移植術を行う.

第38回問91 膝関節X線・MRI(OCD)

解答:b
解説:

15歳・大腿骨内顆OCD。MRI脂肪抑制T2で病変周囲の高信号輪=関節液の侵入=病変不安定化のサイン。
b○ 不安定化を伴う。
a× OCDは外側顆発生時に円板状半月板を合併することはあるが、内顆では関連薄い。
c× OCDは遺伝子診断は用いない。
d× ストレスX線は靱帯損傷評価。
e× 自家培養軟骨移植(JACC)は大型欠損に限定的、第一選択ではない。標準は固定 or 骨軟骨移植。

問92 右膝外傷後のMRI(PD矢状・PD冠状・脂肪抑制T2矢状).正しいのはどれか.2つ選べ.

a 損傷した半月板は切除する.
b 裂離骨片の整復固定術を行う.
c 男性は損傷発生のリスクファクターの一つである.
d 放置すると経時的に内側半月板損傷が増加する.
e 膝関節後外側支持機構よりも内側支持機構に合併損傷を多く生じる.

第38回問92 右膝MRI

解答:d, e
解説:

典型的なACL断裂(ピボットシフト損傷)。
d○ ACL断裂後に放置すると内側半月板損傷の合併が時間経過とともに増加(経年で50%以上)。
e○ ACL損傷では内側支持機構(MCL・内側半月板)の合併が多い(後外側よりも内側)。
a× 半月板はできるだけ温存(縫合)。
b× ACL本体の断裂であり骨片はない(剥離骨片は若年でみられるが本例には合致しない)。
c× ACL損傷リスクは女性に高い(解剖学的・ホルモン要因)。

問93 24歳女性.4か月前から左足関節痛.足関節CT冠状断・矢状断.診断・治療について正しいのはどれか.3つ選べ.

a 足関節捻挫の既往を聴取する.
b 病変は距骨頭内側に存在する.
c MRIで病変の安定性を評価する.
d 手術療法では骨髄刺激法を行う.
e 保存療法では骨癒合を目標とする.

第38回問93 足関節CT(距骨OCD)

解答:a, c, d
解説:

距骨OCD(距骨内側肩部が典型)。
a○ 捻挫の既往(特にinversion injury)が誘因。
c○ MRIで軟骨下骨の浮腫・嚢腫・骨片の安定性を評価。
d○ 手術は骨髄刺激法(drilling, microfracture)が標準。
b× 病変は距骨滑車(dome)の内側肩部・外側肩部であって距骨頭ではない。
e× 保存療法は疼痛軽減・機能改善目標で、骨癒合は必ずしも目標にしない

問94 パラリンピックの対象でないのはどれか.

a 知的障害
b 視覚障害
c 聴覚障害
d 脳性麻痺
e 脊髄損傷

解答:c
解説:

聴覚障害はパラリンピックの対象外。聴覚障害者の国際スポーツ大会は別途「デフリンピック」として開催される。a知的障害、b視覚障害、d脳性麻痺、e脊髄損傷を含む肢体不自由はパラリンピックの対象。

問95 24歳男性.C7脱臼骨折+C8以下脊髄完全損傷.受傷同日に観血的整復固定術.翌日リハ指示書の注意事項:①頻脈、②低血圧、③麻痺の変化、治療内容:④筋力増強訓練、⑤車いす移乗訓練.誤っているのはどれか.

a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤

解答:a
解説:

脊髄完全損傷直後(脊髄ショック期)は自律神経系の障害により徐脈・低血圧が出現する。頻脈は通常出ないため、指示書の「頻脈」は誤り。②低血圧・③麻痺変化(神経学的回復のモニタリング)・④筋力増強訓練(残存筋)・⑤車いす移乗訓練はいずれも適切。

問96 国家資格でないのはどれか.2つ選べ.

a 公認心理師
b 社会福祉士
c 介護福祉士
d アスレティックトレーナー
e 介護支援専門員(ケアマネージャー)

解答:d, e
解説:

d× アスレティックトレーナーは日本スポーツ協会の民間資格。国家資格ではない。
e× 介護支援専門員(ケアマネ)は都道府県知事の公的資格であり、厳密には国家資格ではない
a公認心理師、b社会福祉士、c介護福祉士は国家資格。

問97 写真の装具療法の目的として誤っている疾患はどれか.2つ選べ.

a 腕神経叢麻痺
b 橈骨神経麻痺
c 尺骨神経麻痺
d 前骨間神経麻痺
e 手根管症候群

解答:c, d
解説:

提示装具がコックアップ装具(cock-up splint, 手関節背屈装具)と仮定すると:
c× 尺骨神経麻痺にはknuckle bender装具(MP屈曲補助、claw hand予防)。
d× 前骨間神経麻痺は母指IP・示指DIP屈曲障害(OK sign陰性)で、装具で改善するものではない。
a, b○ 腕神経叢麻痺(特に橈骨神経領域)・橈骨神経麻痺・手根管症候群(夜間装具)にコックアップ装具は標準的。

問98 63歳男性.糖尿病性壊死で左下腿切断、TSB(total surface bearing)義足.装着後に圧を受けて発赤がみられても問題ない部位はどこか.

a 膝蓋靱帯部
b 脛骨稜部
c 腓骨頭部
d 大腿骨内顆部
e 脛骨切断断端部

解答:a
解説:

TSB(total surface bearing)義足は全表面で荷重を均等に分散する設計だが、その中で膝蓋靱帯部(patellar tendon-bearing area)は元から荷重支持を担う構造物で発赤も生理的範囲。一方、b脛骨稜・c腓骨頭・d大腿骨内顆・e切断断端は圧迫に弱い部位で発赤=皮膚壊死リスクなので義足修正が必要。

問99 労災保険について正しいのはどれか.

a 交通外傷は対象外である.
b 慢性的な職業性負荷による腰痛は対象外である.
c 勤務日数が月に4日未満の労働者は対象外である.
d 「治ゆ」(症状固定)と判定される基準は自賠責保険と同じである.
e 就労復帰は「治ゆ」(症状固定)と判定されるための必要条件の一つである.

解答:d
解説:

d○ 労災保険・自賠責保険ともに「これ以上治療を続けても症状の改善が期待できない状態」を症状固定(治ゆ)と判定。基準は基本的に同じ。
a× 通勤災害・業務上の交通外傷は対象
b× 慢性腰痛も職業性と認められれば対象
c× 勤務日数による対象除外はない(パート・アルバイトも含まれる)。
e× 就労復帰は治ゆの必要条件ではない(後遺障害が残ったまま症状固定もあり得る)。

問100 保険診療として適切な組合せはどれか.2つ選べ.

a ─
b 慢性腰痛症 ─ デュロキセチン内服
c 肩関節周囲炎 ─ ヒアルロン酸ナトリウム関節内投与
d 変形性膝関節症 ─ 多血小板血漿(PRP)療法
e 変形性足関節症 ─ 末梢神経ラジオ波焼灼法

解答:b, c
解説:

b○ デュロキセチン(SNRI)は慢性腰痛症に保険適応あり(2016年〜)。
c○ ヒアルロン酸ナトリウム関節内注射は肩関節周囲炎・変形性膝関節症ともに保険適応
d× PRP療法は保険適応外(自由診療)。
e× 末梢神経ラジオ波焼灼(cooled RF)は変形性膝関節症(膝神経)には保険適応あるが、足関節は適応外。
保険診療の境界を整理しておくと開業時にも役立つ論点。

問76-100はスポーツ整形・骨折・装具・社会保障・保険診療まで幅広く。問83の高エネルギー外傷へのa,b,d対応セット、問91-93の画像問題(OCD・ACL断裂・距骨OCD)は実臨床でも頻用の論点。問96以降は社会保障系の暗記問題で、開業医として実務的にも知っておきたい範囲。

これで第38回整形外科専門医試験の解答&解説シリーズは完結です。第38回の公式正答は問100の問題文に正答一覧が掲載されていたため、本記事の解答は学会発表正答に準拠しています。

あざらし

第38回の公式正答(問100の問題文に掲載)に準拠。
2026年5月時点の解説。

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