【整形外科】筋・筋膜性腰痛でのトリガーブロック・ハイドロリリースについて

どーも、こんにちは。

現在慢性期病院勤めになってから、整形外科のメインの業務である手術の時間がめっきり減りました。

外来診療が主になり、ブロック注射をする機会が多くなりました。

今回は、筋膜性腰痛でのトリガーブロック・筋膜リリースについてまとめてみます。ハイドロリリースとも言います。

あざらし
注射とかリハビリは具体的に指南を受けることもないので、教科書での自己学習がメイン。。。

スポーツ分野のエコーや筋膜リリースについて、一度専門の先生に指南を受けてみたいものです

目次

筋・筋膜性腰痛と原因

腰痛の原因はさまざまですが、そのうちの一つが筋・筋膜性腰痛。

筋実質は周囲組織と滑走性を保つために結合組織(fascia)=筋膜で覆われています。このfasciaが癒着して滑走性が失われたり、伸張性が低下するといたみの原因になります。

このメカニズムははっきりしていませんが、fasciaにある侵害受容器が疼痛の原因とも言われています。

治療の考えは単純。この癒着したfasciaの癒着をとる=リリースしてしまおうということ。そしてリハビリも合わせて伸張性の改善をする。

ここからは、fasciaの癒着剥離を主に説明していきます。

癒着の剥離は軽度であれば理学療法士の徒手的な剥離も可能ですが、癒着が強固になるとトリガーブロック(=注射)や手術による剥離が必要になります。

ちなみに針灸などは、「fasciaに針の機械的刺激やお灸の熱刺激などを加えて、疼痛の原因となる侵害受容器に作用させる」という考えです。

癒着のGrade分類と治療方法については下図

詳しくは、日本整形外科内科研究会ホームページを参照。

ハイドロリリースや針灸がなぜ疼痛改善に効果があるのかは具体的には分かっていません。

先ほど述べた「侵害受容器に作用する」ことの他に、機械刺激・熱刺激による組織透過性亢進や血流増加による局所の炎症サイトカイン低下なども原因として言われています。

このfasciaリリースは筋膜に限らず、神経や腱組織にも効果的です。

トリガーブロック・ハイドロリリース

厳密にはブロックとリリースは異なりますが、細かい定義は整形内科研究会を参照ください。

今回はハイドロリリースの解説をします。

薬液

ハイドロリリースとは、ハイドロ=液体(注射)を用いて組織をリリース=剥離するという意味で用います。

じゃ、液体は何を用いればいいか。原理上は‘‘生理食塩水のみ‘‘でも効果が得られるとされています。

生理食塩水のみと局所麻酔使用時とで、疼痛の改善結果はほぼ変わりないようです。

ちなみに自分は生理食塩水+局所麻酔+ノイロトロピンを混ぜて使っています。

理由は、

①局所麻酔入れれば短時間は効果があるため、次回もやらせてくれやすい

②生理食塩水だけだと何となく不安

③局所麻酔だけだと浸透圧的に周囲組織にダメージを与えそう←エビデンスなし。完全に主観。

原因筋膜の特定

まず、原因となる異常なfasciaを特定するために、問診、理学所見、触診、エコー所見が重要。

MPS研究会:MPS研究会治療指針より

気を付けたい点として

①異常なfasciaによる患者の自覚症状が関連痛であることもあり、ポイントが正確に定まらないこともある。

②原因となるポイントが複数個所あったり、筋・筋膜性腰痛だけでなく、椎間板症や椎間関節症などほかの原因も合併していることが多い

○急性腰痛について

神経所見を伴わない急性腰痛症のほとんどは、筋・筋筋膜性腰痛であり、その80%は3部位①胸腰筋膜の腸骨稜付着部、②多裂筋の内外側、③中殿筋の治療で対応可能である

とされています。(「THE整形内科」より)

腰痛の原因筋として、腰部の筋(胸腰筋膜,多裂筋,腰方形筋)と殿部の筋(多くは中殿筋)があり、これらのうちどれが原因となっているかは、自覚症状の部位・性状,立位または坐
位での動作(背屈、回旋)で検討を付けていきます。

「THE整形内科」より

イメージしにくいと思うので、具体的に。

前後屈動作で痛い⇒矢状面に走行する棘筋や最長筋。

回旋動作で痛い⇒斜めに走行する多裂筋や腸肋筋。

側屈で痛い⇒側面に走行する腰方形筋。

が原因として考えられます。

図(グレイ解剖学より)

背筋の浅層

背筋の深層

注射ポイント

原因筋膜に目星をつけたところで、浅層・深層をイメージしつつ針を刺入します。

①胸腰筋膜:浅層

②胸腰筋膜:深層

異常な筋膜はエコー上厚く高エコー(白く)見えることが多いので、ここをめがけてリリースします。

よくわからないときは、浅層・深層含め複数箇所ハイドロリリースしてます。

部位が特定できれば患者さんの負担が少ないので、慣れる必要がありますね。

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