2024年(第36回)整形外科専門医試験解答【問51-75】

問 51 32 歳の女性.数週間前から右手関節の痛みが次第に悪化してきたため受診した.橈骨茎状突起部に軽度の腫脹と圧痛があり,母指を他の指で握り込んで手関節を尺屈すると疼痛が増強する(下図).誤っているのはどれか.2 つ選べ.


a 周産期に増悪する.
b ステロイド注射が有効である.
c MRIで月状骨の信号変化を認める.
d 短母指伸筋腱の狭窄性腱鞘炎である.
e 手術時には正中神経掌側枝の損傷に気を付ける.

解答:c,e
ChatGptの解答:c,e
解説:ドュケルバン症候群。e;橈骨神経背側枝


問 52 頚椎前方手術後の気道狭窄について誤っているのはどれか.
a 呼吸回数は増加する.
b 血中動脈酸素飽和度は徐々に低下する.
c 頚部腫脹の増大を認めた場合,直ちに開創する.
d 血腫に加え静脈還流障害に伴う喉頭粘膜浮腫が関与する.
e 進行する場合,外科的気道確保が気管挿管より有用である.

解答:b
ChatGptの解答:b,e
解説:


問 53 頚椎後縦靱帯骨化症に対する手術について正しいのはどれか.
a 骨化のサイズは予後に関与しない.
b 脊髄症状がなくても予防的な手術を勧める.
c 術前頚椎可動域が大きいほうが予後良好である.
d 後弯例に対する椎弓形成術は症状改善が不良である.
e 椎弓形成術のJOAスコア改善率は前方除圧固定術より優れる.

解答:d
ChatGptの解答:d
解説:d;短期成績は椎弓形成術がやや悪いらしい?が長期成績は変わらないらしい。


問 54 Adams forward bending testを示す.この症例で正しいのはどれか.

a 脚長差がある.
b 主カーブは腰椎である.
c 胸椎に椎体回旋がある.
d 右に腰部隆起lumbar humpがある.
e ウエストラインの非対称が指摘できる.

解答:c
(ChatGptの解答:c)
解説:特になし

問 55 胸椎CT矢状断像(左)と水平断像(右)で示す疾患について正しいのはどれか.2 つ選べ.

a 男性の発生が多い.
b 後方除圧術が一般に行われる.
c 厚生労働省の指定難病である.
d 手術合併症の頻度は一般的な脊椎手術と比べて低い.
e 術中脊髄モニタリングは手術による運動麻痺の悪化防止に有用である.

解答:c,e
(ChatGptの解答:c,e)
解説:b;後方除圧術。脊髄症状でたら基本的に保存加療抵抗性で症状進行傾向なので基本オペ。


問 56 75 歳の女性.歩行時に両大腿後面から下腿外側に痛みがある.両側母趾周囲に感覚障害を認める.腰椎 MRI
T2強調矢状断像(A,B,C)およびT2強調水平断像(D,E)を示す.正しいのはどれか.


a 膀胱直腸障害を伴う.
b 保存治療が効果的である.
c アキレス腱反射の亢進を認める.
d redundant nerve rootsを認める.
e Kemp (ケンプ)テストが陽性になる.

解答:e
ChatGptの解答:e
解説:特になし



問 57 腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 繰り返し実施できる.
b 実施には施設要件がある.
c 経後縦靱帯脱出型に行う.
d 20歳未満の症例に安全に使用できる.
e 投与後のアナフィラキシー発現に注意する.

解答:b,e
ChatGptの解答:b,e
解説:a;一生に一回。抗体ができて副作用がでやすいとされる。b;1 椎間板内酵素注入療法に関する施設基準 (1) 整形外科又は脳神経外科を標榜している保険医療機関であること。 (2) 整形外科又は脳神経外科について 10 年以上の経験を有する常勤の医師が1名以上配置さ れていること。 (3) 緊急手術が可能な体制を有していること。e;一昔前にキモパパインとかいう製剤がアレルギーでまくって中止になったらしい。こちらも改善されているとはいえアレルギーが一番問題。


問 58 32歳の男性.右下肢痛と感覚障害がある.右SLR40度陽性,膝蓋腱とアキレス腱の反射は両側正常,右下腿外
側から母趾にかけて感覚障害がある.右長母趾伸筋の徒手筋力テストは4であった.考えうる病態で正しいのはどれか.2 つ選べ.
a L3/4の外側型椎間板ヘルニア
b L4/5の外側型椎間板ヘルニア
c L5/S1 の外側型椎間板ヘルニア
d L4/5の脊柱管内椎間板ヘルニア
e L5/S1 の脊柱管内椎間板ヘルニア

解答:c,d
ChatGptの解答:b,d
解説:特になし


問 59 62 歳の男性.1 週間前に出現した腰痛と下肢の筋力低下を主訴に受診した.特記すべき既往歴はない.下肢麻
痺は昨日からFrankel分類Bに進行した.腰椎単純X線正側面像および腰椎MRI T1強調矢状断像を示す.緊急で脊椎
除圧固定術の適否を検討する上で必要なのはどれか.2つ選べ.

a 生検術
b 全身のCT検査
c 骨シンチグラフィー検査
d Spine Instability Neoplastic Score (SINS)
e 日本整形外科学会腰痛疾患質問票(JOABPEQ)スコア

解答:b,d
ChatGptの解答:b,d
解説:あきらかに腫瘍なので、まずは全身検索で予後も含めて検討する。a,c;まずやらんでしょ
d;転移性骨腫瘍の椎体不安性を表す評価指標。 病変部位、 動作や脊椎への負荷時の疼痛、 腫瘍の性状、 画像所見による椎体アライメントの評価、 椎体の圧潰、 脊椎後側方の障害の程度に基づき評価.。0−6点が安定、7−12点が潜在的な不安定性、13−18点が不安定。
以下参照。


問 60 次の胸椎MRI矢状断像で示される疾患について正しいのはどれか.2つ選べ.

a 悪性腫瘍に分類される.
b 腫瘍内に石灰化が見られる.
c T2強調像手術では硬膜再建が必要となる.
d 前根神経よりも後根神経からの発生が多い.
e 神経根に沿って硬膜外に伸展すると砂時計腫となる.

解答:d,e
ChatGptの解答:d,e
解説:髄膜腫


問 61 大腿骨頭すべり症について正しいのはどれか.
a すべり角30°以内の症例は手術しない.
b わが国では20-40%が両側発症例である.
c 骨端核が骨幹端に対して前下方に転位する.
d 高度の不安定型では,まず徒手整復を行う.
e 股関節を他動的に屈曲させると股関節が内旋する.

解答:b
ChatGptの解答:b
解説:30°未満は軽症、30-60°が中等症、60°以上が重症。
;a;基本は固定する、c;後方、d;徒手整復の適応がそもそも24時間以内の発症で、仮骨形成を認めず、慢性すべりの成分がない場合というかなり限局した条件のみ。e;外旋するのがDrehn徴候


問 62 特発性大腿骨頭壊死症について正しいのはどれか.
a 壊死域は変化しない.
b 壊死発生により疼痛が出現する.
c 壊死発生にはアポトーシスの関与が明らかとなっている.
d プレドニゾロン投与から3か月以内に発生することはない.
e 本症に伴う他部位の壊死発生頻度は,肘関節,手関節,足関節の順に多い.

解答:a
ChatGptの解答:c
解説:結局厳密な原因はよくわかってないけど、血流不良が原因説。


問 63 48歳の男性.ネフローゼ症候群に対してプレドニゾロンの内服治療中(最高投与量 50 mg)である.治療開始 6
か月後から歩行時に左大腿部痛を自覚した.外傷や減圧病の既往はない.両股関節単純X線正面像とMRI T1強調冠状
断像を示す.正しいのはどれか.


a 左股関節は病期分類でstage 3である.
b 右側の大腿骨頭圧潰率は50%以上である.
c 病変の拡大を予防するためにプレドニゾロンの減量が必要である.
d ビスホスホネート製剤投与により骨頭圧潰を予防できる.
e 右側が大腿骨内反骨切り術の適応である.

解答:b
ChatGptの解答:c
解説:a;関節症性変化出てるのでstage4。stage2帯状硬化があるが、骨頭の圧壊はない。stage3A骨頭の圧壊が3mm未満、3B3mm以上。c;関係ない。c;後方成分残ってれば回転骨切りとかも


問 64 左股関節痛を主訴に受診した67歳女性の左股関節単純X線正面像(初診時および5か月後)を示す.神経学的検
査,血液検査にて異常を認めず,関節穿刺液の培養検査も陰性である.
この疾患について正しいのはどれか.2つ選べ.

a 疼痛は軽度である.
b 両側例は片側例より多い.
c 可動域制限は軽度である.
d 人工関節置換術の適応になる.
e 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折との関連性はない.

解答:c,d
(ChatGptの解答:d)
解説:急性破壊型股関節症


問 65 わが国における変形性股関節症について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 発症に遺伝の影響はない.
b 有病率は1.0-4.3%である.
c 萎縮型は進行の予測因子である.
d 発症年齢は平均60-70歳である.
e 一次性の頻度は30-35%である.

解答:b,c
ChatGptの解答:b,d
解説:a;一次性は特に遺伝の影響が。d;40-50代、e;二次性が8割以上


問 66 変形性膝関節症について誤っているのはどれか.2つ選べ.
a 生活習慣についての指導プログラムは強く推奨される.
b 運動療法には鎮痛効果がある.
c 長期間の非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)内服は合併症に留意する.
d ステロイド関節内注射は長期間にわたって有効である.
e 鏡視下デブリドマンは人工膝関節全置換術への移行を抑制する.

解答:d,e
ChatGptの解答:d,e
解説:b;大腿四頭筋訓練は長期的にNSAIDSと同程度の効果があったはず

問 67 内側開大式楔状高位脛骨骨切り術(open wedge high tibial osteotomy)について誤っているのはどれか.
a 矯正角決定には下肢機能軸(Mikulicz線)が有用である.
b 膝関節特発性骨壊死に対して適応がある.
c 術前膝屈曲拘縮は予後不良因子である.
d 術後に膝蓋大腿関節の変形性膝関節症が進行する.
e 低体重は骨切り部偽関節のリスクファクターである.

解答:e
ChatGptの解答:e
解説:特になし


問 68 大腿骨内側顆の骨壊死について誤っているのはどれか.
a 軟骨下骨の脆弱性骨折が主原因と考えられている.
b 半月板のhoop機能の破綻により生じる.
c 足底挿板による病変部への負荷の軽減の効果は乏しい.
d 高位脛骨骨切り術によるアライメント矯正は,病変部への負荷を軽減させる.
e 膝単顆置換術(UKA)は内反変形が強くなる前の症例に適している.

解答:c
ChatGptの解答:b
解説:b;特に内側半月板後根断裂あると軟骨面の接触圧増えてリスクアップ。


問 69 強剛母趾について正しいのはどれか.
a 皮疹を伴う.
b 先天性の骨癒合である.
c 強剛母指を合併しやすい.
d 母趾趾節間(IP)関節に生じる.
e 第1中足骨頭背側に骨棘が形成される.

解答:e
ChatGptの解答:e
解説:母趾MTPの関節炎。関節のアライメント変形はそんなに。外反母趾とよく間違われる。


問 70 変形性足関節症について正しいのはどれか.3つ選べ.
a 外反型より内反型が多い.
b 陳旧性足関節外側靱帯損傷が発症に関与する.
c ミルウォーキー装具が有効である.
d 関節固定術を行う場合,足関節内果を切除する.
e 人工関節置換術を行う場合,前方または外側アプローチで行う.

解答:a,b,e
ChatGptの解答:a,b,c
解説:b;外来でも足関節外側靱帯損傷で不安定性が残ってる人たまにいる。
c;ミルウォーキー装具は骨盤ガードルと頭部を支持するネックリングから組み立てられており、側彎矯正の為に胸椎パッド、腰椎パッドがつけられています。こうして脊椎を固定することで、変形性足関節症の痛みがやわらぎまず、、ってなんでじゃw。


問 71 手袋状剥皮損傷(degloving injury)について誤っているのはどれか.2つ選べ.
a 保存治療の適応である.
b 交通外傷では車内で受傷する.
c 皮膚を戻して癒合する可能性は低い.
d 隣接する大関節の関節拘縮が発生しやすい.
e 手足の受傷部位から末梢の軟部組織が剥脱する.

解答:a,b
ChatGptの解答:a,b
解説:c;皮膚自体がボロボロじゃなきゃ意外と癒合する。

問 72 間接骨折治癒が得られるのはどれか.2つ選べ.
a 橈骨遠位端骨折に対するキャスト固定
b 上腕骨骨幹部斜骨折に対する髄内釘固定
c 鎖骨骨幹部骨折に対する圧迫プレート固定
d 脛骨遠位端骨折に対するラグスクリュー固定
e 腓骨遠位端骨折に対するラグスクリューと中和プレートによる固定

解答:a,b
ChatGptの解答:a,b
解説:仮骨ができやすそうな安定性に乏しいものから選んでけばおけ


問 73 圧迫プレート固定として正しいのはどれか.
a 粉砕骨折に使用する.
b 皮質骨スクリューでプレートを骨に対して圧迫する.
c 骨折部に圧迫をかけるときはロッキングスクリューを使用する.
d スクリュー挿入時にプレート孔の傾斜を利用して,骨折部に圧迫をかける.
e 斜骨折に対してラグスクリューで圧迫固定した後に,骨折部にかかるストレスを緩衝するために使用する.

解答:d
ChatGptの解答:b
解説:特になし


問 74 多発外傷患者に対する初療時の骨折治療として誤っているのはどれか.
a 不安定型骨盤輪骨折に対して,骨盤固定具を装着した.
b 股関節脱臼骨折に対して,8時間かけて内固定を行った.
c 脛骨プラトー骨折に対して,膝関節を架橋した創外固定を行った.
d 全身状態が安定している大腿骨骨幹部骨折に対して,髄内釘固定を行った.
e 出血のコントロールが困難なGustilo type Ⅲ-c脛骨開放骨折に対して,下腿切断術を行った.

解答:b
ChatGptの解答:b
解説:b;総出血量5000mlくらいで3時間目くらいに心停止してそう。


問 75 65歳の男性.階段から転落し頚部痛と両上下肢の脱力を主訴に救急搬送された.意識清明でFrankel分類Cの麻痺を認めた.頚椎単純X線側面像を示す.初期の対応として正しいのはどれか.2つ選べ.

a 直ちに気管切開を行う.
b 覚醒下で非観血的整復を行う.
c 造影CTで椎骨動脈を評価する.
d 動態撮影で不安定性を評価する.
e 麻痺回復の程度を確認してから手術を検討する.

解答:b,c
(ChatGptの解答:b,c)
解説:a;C4/5なので横隔膜機能は保たれている。d;うぉりゃーと動かしてる間にFrankelAになりましたとさ。e;手術前提。

あざらし

正答率9/16!!画像問題の正答率が意外と高くて全正答率16/25!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次