熱傷~開業医レベルで必要な診断と治療~

今回は、熱傷について開業医レベルで知っておくべきことを簡単にまとめます。
急性期病院では、重度熱傷の植皮や輸液管理などたまに見かけますが、開業医レベルでは必要ないのでそこは割愛します。

熱傷はお湯や調理中の油がかかったりなどが多いですが、お湯は揮発性ですぐに冷めるためか、お湯での受傷は実際には深達度が思ったより低かったりします。逆に調理油や工場などでの受傷は深達度が高くなる傾向があります。また、皮膚の厚みでも損傷レベルが変わるため、部位でも深達度に違いが出ます。

目次

熱傷深達度分類

熱傷は深さ(深達度)により、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。Ⅱ度熱傷は深達度の違いにより浅達性と深達性に分けられ、治療方針も異なります。

受傷早期は深達度がはっきりしません。受傷当日は浅そうに見えても、後々経過見ていくと意外と深かった、、、なんてこともよくあります。受傷当日に来院することが多いので、受診時は受傷早期は深達度が分かりにくいことをしっかり伝えましょう。

●Ⅰ度熱傷(Epidermal Burn:EB)
表皮のみの熱傷で、外見上は皮膚が発赤し、疼痛も軽度あります。約数日~1週間で治癒するので瘢痕は生じにくい。

●浅達性Ⅱ度熱傷(Superficial Dermal Burn:SDB)
真皮浅層レベルの熱傷で、水泡形成をするが、水泡基底は真皮欠航が残るため赤みを帯びる。2週間以内に上皮化するため瘢痕は生じにくい。

●深達性Ⅱ度熱傷(Deep Dermal Burn:DDB)
真皮深層レベルの熱傷で、水泡形成をするが、水泡基底は真皮血行がないので白色になる。上皮化に3週間以上かかるので肥厚性瘢痕を形成する

●Ⅲ度熱傷(Deep Burn:DB)
皮膚全層レベルの熱傷で、創面皮膚は乾燥し、白色(壊死)になる。痛みはない。

それぞれの特徴をまとめると下の表になります。

深達度外見疼痛治癒期間肥厚性瘢痕
Ⅰ度(EB)発赤・腫脹数日~1週間ほぼなし抜けない
浅達性Ⅱ度
(SDB)
水泡形成
(基底は赤色)
++上皮化まで
2週間以内
なりにくい抜けない
深達性Ⅱ度
(DDB)
水泡形成
(基底は暗赤色~白)
±上皮化まで
3~4週間
なりやすい抜ける
Ⅲ度(DB)白色(壊死)手術必要手術瘢痕抜ける

熱傷面積(%TBSA)

一般的な%TBSA(=% total body surface area)は

手掌法・・・手掌全体の面積を1%として算定する

9の法則・・・変則上肢全体の面積を9%として各部位をその倍数で計算する。

5の法則・・・小児は体型の面積比率を考慮してこちら

・Lund and Browrder・・・表を細かく区分して年齢による面積補正を行ったもの

形成外科治療手技全書Ⅲより
形成外科手術手技全書Ⅲより
あざらし

手掌法9の法則5の法則だけ覚えとけばOK~♪

分類別治療法

まず、受傷早期はすぐに冷却することが大切。冷却は水道水などの流水を直接(痛くて無理なら服などの上から)かけ、できれば20~30分は冷却した方がよいでしょう。その後は以下。

●Ⅰ度熱傷(Epidermal Burn:EB)
リンデロン軟膏やアズノール軟膏の外用で疼痛緩和。

●浅達性Ⅱ度熱傷(Superficial Dermal Burn:SDB)
ワセリン基材の軟膏を塗布して湿潤を。水泡をつぶすかそのままにするかは流派が分かれる。

●深達性Ⅱ度熱傷(Deep Dermal Burn:DDB)
→SDBと一緒でワセリン基材の軟膏を塗布して湿潤を保つ。水泡をつぶすかそのままにするかは流派が分かれるが、bFGF製剤(フィブラストスプレー)を使うなら水泡をつぶして表皮を取って水泡基底にしっかりかけたいところ。ちなみにフィブラスト使う意味は血管新生を促して深達度を下げることを期待している。また、肥厚性瘢痕は必発なので、場所と大きさによっては植皮を検討する。

●Ⅲ度熱傷(Deep Burn:DB)
→植皮術などの手術を検討。それまでは感染予防でスルファジアジン銀クリーム(ゲーベンクリーム)などを塗布。

Artzの重症度指標

熱傷患者の搬入先の選定基準にArtz指標がある。

            Artzの重症度指標
 重症熱傷(熱傷センターなどの熱傷専門施設をもつ総合病院に入院)
1. 30%以上の Ⅱ度熱傷
2. 10%以上、もしくは顔面、手足などの特殊部位のⅢ度熱傷
3. 気道熱傷、広範囲軟部損傷、こつっせつなどの合併症を伴う
4. 電撃症
    中等度熱傷(形成外科のある一般総合病院へ入院)
1. 15~30%のⅡ度熱傷
2. 10%以下のⅢ度熱傷(顔面、手足を除く)
      軽度熱傷(形成外科を有する外来治療施設)
1. 15%以下のⅡ度熱傷
2. 2%以下のⅢ度熱傷

まとめ

・受傷早期は深達度がはっきりしない。

・軽症であれば、軟膏処方でこまめに外来通院を。

・DDBは瘢痕形成必発なので、比較的広範囲なものや関節周囲のものは形成外科のある病院へ送ろう

・送り先はArtz重症度指標を参考に

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