今回は、整形外科・形成外科でよく用いられるZ形成術(Z Plasty)、W形成術(W Plasty)について解説。
目次
Z形成術
皮膚の瘢痕や変形術などで、主に①皮膚の距離が足りないときに皮膚延長させる目的で使用します。その他②位置の入れ替え、③直線の分断、④四面体効果を目的に行うこともあります。
一般的な方法は、60°の三角弁を入れる方法(下図)。
図:60°Z形成術
先端角60°の三角弁の場合、縦方向に約73%(1.73倍)の延長効果があります。
かわりに横幅は約58%へ短縮します。
これは三平方の定理1:2:√3 を考えるとわかりやすいですね
他にも、30°や45°バージョンもあります。
図:30°/45°Z形成術
・30°の場合、縦方向の延長効果は約25%程度
・45°の場合、縦方向の延長効果は約50%程度
・90°の場合、縦方向の延長効果は約120%程度
形成外科では瘢痕形成予防目的にZ形成術を加えることがあります。手の外科分野ではデゥピュイトラン拘縮などで皮膚延長が必要な時に使用します。その場合は、皮膚の長さが足りないので連続Z形成術を用いることが多いです(下図)。
図:連続Z形成術
あとは、4弁Z形成術、5弁Z形成術などもあります。
図:4弁Z形成術
図:5弁Z形成術
注意点は、先端角が30°以下になると血流が悪くなって壊死する可能性があるので、鋭角にし過ぎないようにしましょう。
W形成術
ケロイドや瘢痕などの切除で、整容性を得るために行う方法。
正常皮膚も一部切除するので、皮膚にゆとりがある場合に可能です。
皮膚が寄らない場合は無理できません。
以上、解説です。次回はケロイド/肥厚性瘢痕についてまとめてみます。
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