運動単位とは
まず、脊髄から延びる1つの運動神経はいくつかの筋線維とつながり、筋線維の収縮をコントロールしています。
この1つの運動ニューロンとそれが支配する筋線維を「運動単位(motor unit)」と表現します。
運動単位は、1つの運動神経が数十本~数千本の筋線維を支配するものまで「大小さまざまな運動単位」が存在します。
これら大小の運動単位が全身の筋肉にさまざまな割合で存在しています。
筋線維の種類
筋線維ですが、大きく分けて2種類があります。
よく言う「白筋=速筋」、「赤筋=遅筋」というやつです。
それぞれの特徴を解説します。
1)速筋(=白筋)
医学的には速筋線維(fast-twitch fiber=ST線維またはtypeⅡ線維)と呼ばれます。
文字通り筋線維が“白い“ものになります。
無酸素運動であるダッシュなどの瞬発力系の動きが得意な分、持久力は低いという特徴があります。
また、FT線維(typeⅡ線維)はさらにFTa(typeⅡa)とFTb(typeⅡb)に分けられ、typeⅡbがいわゆる白筋になります。
typeⅡaはtypeⅠ(遅筋)とtypeⅡbの中間的な役割を持ちますが、存在する割合は少ない。
2)遅筋(=赤筋)
医学的に遅筋線維(Slow-twitch fiber=FT線維またはtypeⅠ線維)と呼ばれます。
文字通り筋線維が“赤い“ものになります。
有酸素運動であるジョギングなどの持久力系の動きが得意ですが、逆に瞬発力は低いのが特徴。
3)まとめ
標準整形外科より
4)おまけ
病理上は、白いのがtypeⅡb線維、ピンクがtypeⅡa、赤がtypeⅠになります(下図)。
また余談ですが、各筋線維タイプにおけるエネルギ供給上の特徴として
1)fast-twitch glycolitic(FG)線維
2)fast-twitch oxdative glycolitic(FOG)線維
3)slow-twitch oxidative(SO)線維
という分類もされます。
運動単位の種類
骨格筋の張力は、筋収縮に関与する運動単位の動員様式とインパルス発射頻度の影響を受けます。
ここは難しいので、とりあえず理解しなくてよいです。
運動単位は、支配している筋線維の収縮特性や組織・生化学鵜的な特性によって
①fast, fatiguable(FF)タイプ
②fast, fatigue-resistant(FR)タイプ
③slow, fatigu-resistant(S)タイプ
に分けられます。
速く、強い力を使うときは①FFタイプが主に使われ、遅く、弱い力を使うときは③Sタイプの運動単位が主に使われます。
要約すると
①FFタイプ=typeⅡbもしくはFG線維
②FRタイプ=①と③の中間
③Sタイプ=typeⅠもしくはSO線維
と言えます。
運動単位の動員とサイズの原理
大小の運動単位は、発揮する力の強度に応じて収縮に動員させる運動単位を変えています。
筋線維が収縮する数は、発揮する力の強度に応じて異なるサイズの運動単位を使い分けます
つまり、発揮する筋収縮の水準が低い場合はSタイプの運動単位が選択的に動員され、筋収縮が高くなるにつれ、FRタイプ→FFタイプへと運動単位が順次動員されます。
これを「サイズの原理」と呼びます。
ただし、すべての筋がこのサイズの原理にしたがうわけではなく、例外もあります。
また、運動単位の動員とインパルスの発射頻度は個々の筋で異なります。
例として、母指内転筋では50%程度の筋力発揮でほとんどの運動単位が動員されますが、上腕二頭筋では90%近く筋力発揮しないと動員されません。
余談ですが、「最大筋収縮時にすべての運動単位を動員できているか」については、否定的な意見が多い。
確かにケンシロウも同じようなことを言ってました。
最大努力で発揮することができる筋力は、電気刺激によるものより20~30%低い。
潜在能力の30%しか使えてないってのは言い過ぎかもしれませんが、実際は50~70%くらいしか使えていないようです。
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