最近、美容医療へ参入する若手医師が増えています。
かくいう自分も7年間整形外科医として働きましたが、今後美容医療への転科を考えています。
転職会社の方にもいろいろ情報をもらったので、今後の美容業界の展望も見据えながら解説していきます。
この記事は、今後美容外科・皮膚科の道に進もうか迷っているドクター向けの記事になります。
美容外科・美容皮膚科について
美容医療は大きく3つに分かれます。1つ目が美容外科、2つ目が美容皮膚科、3つ目がAGA・脱毛など。
・美容外科・・・二重手術や輪郭形成、脂肪吸引などの外科的処置を行います。
・美容皮膚科・・・レーザー治療などでシミやほくろを取ったり注入治療がメインの処置となります。
・AGA・脱毛・・・業務内容は、問診などが主。
レーザーなどは看護師さんのようなコメディカルの方が主に担当されるようです。
また、美容外科は美容皮膚科や脱毛などと比べて訴訟リスクもある分、給料が高い傾向にあります。
いずれも、一般臨床医と比較すると時間外労働は皆無でQOLは高いようです。
以下、それぞれの特徴をまとめてみました。
美容外科 | 美容皮膚科 | AGA、脱毛など | |
業務内容 | 二重手術、脂肪吸引など | 注入、レーザーなど | 問診業務が主 |
給料 | 1200万~1億 | 1000~3000万 | 1000~2000万 |
メリット | がある ・給料面はかなり良い | ・技量が反映されるのでやりがい・訴訟面でのリスクが比較的少ない | ・技量の差が出にくい・技量が求められない | ・すぐにできる
デメリット | ・美容外科医が増えている分 症例経験が少なくなることも ・実力が反映されてしまう | ・訴訟リスクが高い・外科と比較して治療のバリエー ションが少ない | ・外科と比較して給料は少なめ・やりがいが少ない ・給料は一般臨床医並み | ・単純作業業務
難易度 | 高 | 中 | 低 |
形成外科・皮膚科の専門医は必要?
かなり悩まれる方も多いと思います。
僕も転職エージェントの方に聞いてみましたが、返答は「あるに越したことはないけど必須ではない」とのこと。
専門医を取得すれば、保険診療も知識としてカバーできますし、最低限の知識や経験も習得できます。
専門医を持っていない医師を信頼していない同業者も多いため、専門医を取得することで医師としての信頼は得られます。
一方で、完全に美容分野に行くと決めていれば、より若い年齢で経験を積むことができるので、センスが磨かれたりや技術習得のスピードが速まるかもしれません。
美容外科・皮膚科医になる時期3パターンとそれぞれのメリット/デメリット
研修医終わってすぐに行く
最近で祭は研修医終わった後もしくは、内科などを一年経験した後に美容業界に行く先生が増えているようです。
R25歳の若いころから美容外科をやっていれば、外科処置のセンスや経験もより得られやすくなります。
独立なども含めた将来設計も早い段階から検討できるのはいい事だと思います。
一方で、繰り返しになりますが専門医を取得しないと医療者側からの信頼が薄いというデメリットも。
また、骨切りや鼻の手術などの難易度が高い手術は形成外科を経験しないと(症例的にも)会得が難しいとされます。
途中で臨床医に戻る場合は難しいため、完全に美容外科・皮膚科の道に迷いなく割り切れる方が良いでしょう。
形成外科・皮膚科専門医取得後から
臨床も含め、基礎的な知識は得られるため将来的な選択肢は増えます。
専門医取得してからであれば、医師としての信頼も厚くなります。
一方で、専門医取得のためには最短で4年間必要ですし、医局人事の関係で県外勤務の可能性も高い。
また、知識・技術的にも美容分野とオーバーラップしているのは3割程度とされ、無駄な労力が多いのも事実。
この無駄が多い数年間をメリット・デメリット含め、どうとらえるかが問題です。
他科経験後転科
自分も含め他科経験の時間は実質無駄になります。
あえて言えば外科・麻酔経験者であれば、縫合・麻酔の手技が無駄にはならないということでしょうか。
無駄な時間を過ごさないためにも、進路を早めに決定する必要があります。
各美容クリニックの特徴
美容未経験者であれば、大手3社である湘南美容外科・品川クリニック・東京中央美容外科、聖心美容クリニック、城本クリニックを紹介されました。
各美容クリニック情報としては以下。転職会社の方に伺った情報です(2022年現在)。
○湘南美容外科
特徴:業界最大手 症例数多数
研修システムがしっかりしている
初年度給料:2200万~ 3年目以降2500万~
採用率:50%程度
○品川美容外科
特徴:他の大手と比べると美容皮膚科の割合が少し多い
初年度給料:2000万~
採用率:50%程度
○東京中央美容外科
特徴:創立から歴史は浅く店舗拡大中
週4からの勤務が可能
初年度給料:2200万~
採用率:50~70%程度
○聖心美容外科
特徴:技術力の高い医師が多い
統括医師から直接指導を受けられ指導体制○
初年度給料:1200万~1600万
採用率:20%程度
○城本クリニック
特徴:専門医保有者または美容経験3年以上の方のみ採用
初年度給料:1500万~
採用率:50%程度
○共立美容外科
特徴:老舗 骨切りなどの難易度の高い手術も幅広く行う。専門医資格必須。
初年度給料:不明(聞き忘れました)
採用率:不明
大塚美容外科、自由が丘クリニック、高須クリニックなどのクリニックは提示してこなかったので、小~中規模のクリニックは積極的に求人を募集していないのかもしれません。
美容医として必要なスキル
求める人材は人柄の良さ
転職エージェントの方に採用の上でクリニック側が求める人物像を伺ったところ「人格・人柄」が大事だそうです。
未経験の場合、クリニック側で指導するので求められる必要なスキルはあまりないと言っていました。
美容業界は臨床医と異なり「接客業」的要素が強くなるので、人柄・人当たりの良さなど対人関係スキルが大事。
また、ある程度年齢が上になると技術面での習得が難しくなるため、指導側としては40歳を超えた人材は避けたいようです。
コミュニケーションスキルが高い医師は美容医向きでしょう。
SNS集客は必要
クリニックによって必要度は変わってきますが、基本的にはSNSを使用した集客・自己のブランディングは必要です。
開業を考えられている先生は、SNSマーケティングも勉強できますので良い機会です。
集客した上での話ですが、クリニックによっては月の売り上げ目標みたいなものもあるようです。
患者さんに適した治療を行うべきだとは思いますが、内情は実際働いてみないとわかりませんね。
美容医師の求人サイト
美容医師の今後
美容医師の参入者が増え、都心では供給が需要を上回りつつあります。
美容患者の取り合いが激化することは間違いなく、美容医師の給料やQOLの高さがこのまま続くとも思えません。
今後は、美容医師間の競争が激化することになります。
差別化として、マーケティング・自己ブランディングや手術が上手な先生だけが残る世界になると思います。
その点から、自己ブランディングを含めたWeb集客や自分のスキル磨きが必須。
その中で、専門医を持った先生方が当たり前になってくるかもしれません。
まとめ
・美容外科・皮膚科医のQOLは抜群
・美容外科医の給料水準は高く青天井。
・形成外科・皮膚科専門医はあったほうが良いが、必須ではない。
・美容医は人柄重視
・SNS集客は必須で場所によっては売り上げ目標がある
いかがだったでしょうか。
ボクは今後美容外科医の道に進む予定で、まずは形成外科専門医を取得する道を選びました。
人生の選択肢を増したいというのが主な理由なので、自分としては美容分野できっちり技術を磨く意欲があれば専門医は必要ないと思っています。
興味がある方は、転職会社に相談して情報を聞き出すのが良いでしょう。
コメント