TFCCの解剖と機能
解剖
TFCC=三角線維軟骨複合体のことで、手関節尺側支持機構。
掌背側遠位橈尺靭帯、尺側側副靭帯などの靭帯構造と関節円板、尺側手根伸筋腱腱鞘で構成されています。
下図のようにハンモックこうぞうになってます。
MB Orthop Vol.26.No5.101-107.2013より
三角線維軟骨尺側は血流が豊富なようですが、関節円板と橈側部分は基本的に血流がありません。
機能
●線維性軟骨
→関節円板として尺側手根骨からの荷重を緩衝し尺骨に応力を伝達
●靭帯組織
→遠位橈尺関節と尺側手根列の安定性に寄与
TFCC損傷の分類~Palmer分類~
外傷性をClassⅠ、変性をClassⅡに分類しています。
①外傷による損傷(ClassⅠ)
ⅠA:中央部の断裂
ⅠB:尺骨付着部の剥離
ⅠC:遠位側付着部の剥離
ⅠD:橈骨付着部の剥離
②変性による損傷(ClassⅡ)
ⅡA:関節円板の摩耗
ⅡB:関節円板の摩耗+月状骨や尺骨の軟骨軟化巣を伴う。
ⅡC:関節円板の穿孔+月状骨や尺骨の軟骨軟化巣を伴う。
ⅡD:関節円板の穿孔+月状骨や尺骨の軟骨軟化巣、月状三角骨靭帯穿孔を伴う。
ⅡE:関節円板の穿孔+月状骨や尺骨の軟骨軟化巣、月状三角骨靭帯穿孔、尺骨手根関節症を伴う。
ちなみに臨床ではこれだけだと不十分なので、以下分類も使用するようです。
TFCC損傷徒手テスト
Fovea sign
靭帯損傷の徒手評価
回外位で尺骨小窩部の圧痛の有無を評価
MB Orthop Vol31.no7.2018 より(以下同様)
Piano key sign
靭帯損傷の徒手評価
前腕回内位で尺骨頭を背側から押して動揺性を評価
DRUJ ballottment test
靭帯損傷の徒手評価
肘関節90度屈曲位、手関節中間位の状態で尺骨頭を掌背側に押して不安定性を評価
Endpoint有無の評価も大事
ちなみに回外位で行うことで背側橈尺靭帯損傷の有無を、回内位で行うことで掌側橈尺靭帯損傷の有無をフォーカスして評価できる。
Ulnocarpal stress test
円板部損傷の徒手評価
肘関節90度屈曲位、手関節中間位で手関節尺屈位にして徒手的軸圧を加え、回内外分回しで疼痛の有無を評価
DRUJ compression test
円板部損傷の徒手評価
両手で前腕を把持してDRUJに圧迫を加え、前腕を回内外した際に疼痛やClickを見る。
合掌テスト
お手手とお手手を合わせて手関節を尺側へひねり、疼痛の有無を確認
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