続いて問51~75になります。一個前は↓。

問51 手の変形性関節症について誤っているのはどれか.
a 加齢とともに増加する.
b 抗リウマチ薬が有効である.
c 母指CM関節症の初期は装具療法が有効である.
d Bouchard結節の進行例では関節形成の適応がある.
e Heberden結節の進行例では関節固定の適応がある.
解答:b
ChatGPT解説:b
問52 頚椎症性脊髄症について正しいのはどれか.2つ選べ.
a Babinski 徴候陽性は軽症例の診断に有用である.
b 単純X線におけるTorg-Pavlov比は脊髄症発症の予測因子である.
c 錐体路徴候として出現する頻度は足クローヌスがHoffmann徴候よりも高い.
d 神経学的所見に基づく高位診断と画像上の責任高位の一致率は90%以上である.
e 拡散テンソルMR画像(diffusion tensor MR imaging:DTI)は予後予測に有用である.
解答:b,e
ChatGPT解説:b,e
解説:
a. Babinski徴候陽性は軽症例の診断に有用である。
→ ❌ 誤り Babinski徴候は明らかな上位運動ニューロン障害を示す比較的後期の徴候
軽症例では陽性でないことが多く、感度は低い
軽症例のスクリーニングにはHoffmann徴候やWartenberg徴候などの方が有用
b. 単純X線におけるTorg-Pavlov比は脊髄症発症の予測因子である。
→ ✅ 正しい
Torg-Pavlov比=脊柱管径/椎体前後径比が0.8未満で脊柱管狭窄症のリスクが高い
頚椎症性脊髄症の予測因子として用いられる
c. 錐体路徴候として出現する頻度は足クローヌスがHoffmann徴候よりも高い。
→ ❌ 誤り
Hoffmann徴候は軽症のCSMでよく見られる早期徴候で、感度が高い
足クローヌスは重症例に多いため、Hoffmann徴候の方が出現頻度は高い
d. 神経学的所見に基づく高位診断と画像上の責任高位の一致率は90%以上である。
→ ❌ 誤り
実際には60〜70%程度にとどまり、必ずしも一致しないことが多い
特に多椎間病変・高齢例では神経学的所見と画像所見が不一致になる
e. 拡散テンソルMR画像(DTI)は予後予測に有用である。
→ ✅ 正しい
DTIは神経繊維の微細構造変化を検出でき、術前の脊髄ダメージ評価や術後予後予測に有用
Fractional Anisotropy(FA)値の低下は重度障害や予後不良を示唆
問53 16歳の男子.2か月前に右環指,小指の伸展障害が出現し,改善がないため受診した.右小指外転筋,右総指伸筋,右第1背側骨間筋の筋力低下を認めるものの,短母指外転筋の筋力は保たれており,感覚障害や下肢深部腱反射亢進は認めなかった.頚椎単純X線側面像,頚椎MRI T2強調矢状断像,水平断像を示す. 正しいのはどれか.2つ選べ.

a 責任病巣は主にT1髄節である.
b 頚椎前屈位のMRIが診断に有用である.
c まずは頚椎装具による保存治療を行う.
d 温熱刺激により麻痺症状が強くなりうる.
e 脊髄・硬膜管の成長に対し脊柱の発達が遅れることが病態に関連する.
解答:b,c
ChatGPT解説:a,b 不正解
解説:✅ 診断:平山病(Hirayama病)
🔍 平山病の特徴
項目 | 特徴 |
---|---|
年齢・性別 | 思春期~若年成人の男性に多い |
初発症状 | C7~T1支配筋(総指伸筋・骨間筋・小指外転筋など)の筋力低下、特に片側性が多い |
感覚障害 | 基本なし(運動神経優位) |
錐体路徴候 | 通常はなし(脊髄前角のみ障害される) |
MRI所見 | **頚椎前屈時に硬膜の前方移動と脊髄圧迫(可逆的変化)**が見られる |
病態 | 成長期における椎体と脊髄・硬膜管の不均衡(相対的短小) |
問54 モアレ写真を示す.誤っているのはどれか.

a 原則として脱衣で行う.
b 視診よりも偽陰性率が低い.
c モアレ縞の左右差で判定を行う.
d 脊柱側弯症を捉える検診法である.
e モアレ検診は全国すべての自治体で実施されている
解答:e
ChatGPT解説:e
解説:「モアレ検査(モアレトポグラフィ)」
背中の立体形状のゆがみ(左右非対称)を**干渉縞(モアレ縞)**として可視化し、脊柱側弯症のスクリーニングに用いる検査。
問55 胸椎後縦靱帯骨化症について,誤っているのはどれか.2つ選べ.
a 厚生労働省の指定難病である.
b 後方除圧固定術が一般に行われる.
c 靱帯骨化に関連する遺伝子が存在する.
d 術後神経合併症の発生率は約1%である.
e 頚椎や腰椎に靱帯骨化の合併は稀である.
解答:d,e
ChatGPT解説:d,e
解説:
🔍 胸椎後縦靱帯骨化症のポイント
・後縦靱帯が骨化し、脊髄を圧迫する進行性疾患
・特に胸椎では脊髄管が狭く、重篤な脊髄症状を引き起こしやすい
・指定難病(番号79)
・合併しやすい部位:頚椎・胸椎・腰椎の黄色靱帯など
c. 靱帯骨化に関連する遺伝子が存在する。
→ ✅ 正しい COL11A2やBMP系など、骨形成関連遺伝子の関与が報告されている
遺伝素因(家族内発症)も一定割合で確認されている
d. 術後神経合併症の発生率は約1%である。
→ ❌ 誤り(正解) 一般に術後神経合併症のリスクは5〜10%程度とされる
e. 頚椎や腰椎に靱帯骨化の合併は稀である。
→ ❌ 誤り(正解) 頚椎OPLLや黄色靱帯骨化症(OLF)は非常に高頻度に合併する
「多部位靱帯骨化(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)」として全脊柱に広がることも多い
問56 55歳の男性.1週間前から腰痛と右臀部から右下肢の痛みが増強し,歩行に支障が出てきたため受診した.右足底に感覚障害を認める.腰椎MRI T2強調傍矢状断像および水平断像,三次元gradient echo法冠状断像を示す. 筋力低下をきたす可能性がある筋はどれか.2つ選べ.

a 大殿筋
b 中殿筋
c 前脛骨筋
d 大腿四頭筋
e 下腿三頭筋
解答:a,e
ChatGPT解説:a,e
解説:L5/sヘルニア
筋名 | 主な支配神経 | 脊髄神経レベル | S1障害との関係 |
---|---|---|---|
a. 大殿筋 | 下殿神経 | L5〜S2(特にS1) | ✅ 関係あり(正解) |
b. 中殿筋 | 上殿神経 | L4〜S1 | 🔺 一部関与するがS1単独では起こりにくい |
c. 前脛骨筋 | 深腓骨神経 | L4〜L5 | ❌ 関係なし(L5障害) |
d. 大腿四頭筋 | 大腿神経 | L2〜L4 | ❌ 関係なし |
e. 下腿三頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋) | 脛骨神経 | S1〜S2 | ✅ 関係あり(正解) |
問57 慢性腰痛に対して,ガイドラインで強く推奨される治療法はどれか.
a 運動療法
b 腰部固定帯
c 脊椎固定術
d 椎間板内治療
e 中枢性筋弛緩薬
解答:a,e
ChatGPT解説:a,e
解説:
✅ 慢性腰痛の定義と治療の基本
・慢性腰痛=3か月以上持続する腰痛
・多くが非特異的腰痛(画像などで明確な原因を特定できない)
・精神・心理社会的因子(うつ、不安、恐怖回避行動など)も関連
・治療方針は、侵襲の少ない保存療法+生活指導が基本
問58 腰椎MRI T2強調矢状断像と水平断像で示す疾患について正しいのはどれか.

a 装具療法は有用である.
b 馬尾障害は自然寛解が期待できる.
c 馬尾性間欠性跛行は単根性障害を示す.
d リマプロストは混合型の症例に有用である.
e 硬膜管の圧迫下位にredundant nerve rootsを認める.
解答:d
ChatGPT解説:d
解説:
問59 円錐部MRI T2強調矢状断像,水平断像で示される疾患について正しいのはどれか.

a 悪性腫瘍に分類される.
b 石灰化を生じる頻度が高い.
c 増大すると砂時計腫になる.
d 出血を繰り返す血管異常である.
e 夜間痛は非ステロイド性抗炎症薬により軽快する.
解答:d
ChatGPT解説:b 不正解 →ぶっちゃけ自分もわからんかった
解説:海綿状血管腫(Cavernous angioma)
項目 | 内容 |
---|---|
腫瘍分類 | 血管奇形(vascular malformation)。腫瘍ではなく血管異常 |
好発部位 | 脊髄円錐部・馬尾部、脳実質内にも見られる |
出血傾向 | 反復性出血を起こしやすく、T2強調像で混在信号を呈する |
画像所見 | “popcorn-like appearance(ポップコーン状)”:出血・鉄沈着による多彩な信号 |
その他 | 血管腫として静脈性のプールが存在し、増強効果は乏しいことも多い |
選択肢 | 判定 | コメント |
---|---|---|
a. 悪性腫瘍に分類される。 | ❌ | 血管奇形であり、腫瘍ではない。悪性でもない。 |
b. 石灰化を生じる頻度が高い。 | ❌ | 石灰化は髄膜腫に多い。海綿状血管腫には典型的ではない。 |
c. 増大すると砂時計腫になる。 | ❌ | これは**神経鞘腫(schwannoma)**の特徴。 |
d. 出血を繰り返す血管異常である。 | ✅ 正解 | 海綿状血管腫の特徴を正しく表している。 |
e. 夜間痛はNSAIDsで軽快する。 | ❌ | オステオイドオステオーマなどに典型的な特徴。 |
問60 胸椎MRI T2強調矢状断像,水平断像で示される疾患について誤っているのはどれか.2つ選べ.

a 小児期に好発する.
b 特発性が最も多い.
c 症状は緩徐に進行する.
d 保存治療による予後は良好である.
e 硬膜腹側の欠損孔が病態に関与する.
解答:a,d
ChatGPT解説:a,d
解説:
✅ 疾患名:脊髄髄膜瘤(spinal meningocele)
硬膜外くも膜嚢胞(arachnoid cyst)または脊髄ヘルニア(herniation of spinal cord through dural defect)
硬膜の腹側に欠損孔があり、脊髄がそこから逸脱・前方へ牽引される病態→ 脊髄ヘルニア(ventral spinal cord herniation)を強く示唆
✅ 各選択肢の検討
a. 小児期に好発する。
→ ❌ 誤り(正解) 本疾患は40〜60歳代の中年以降の成人に多い
b. 特発性が最も多い。
→ ✅ 正しい 原因がはっきりせず、先天的な硬膜欠損が推定されるが後天的外傷や炎症歴のない例が多い
c. 症状は緩徐に進行する。
→ ✅ 正しい
多くは緩徐進行性の痙性歩行障害・下肢脱力・感覚障害
進行は比較的ゆっくりだが、不可逆的になることもある
d. 保存治療による予後は良好である。
→ ❌ 誤り(正解)
保存療法では症状が進行する可能性が高く、手術が推奨される
特に神経症状がある場合は、外科的修復術(硬膜欠損閉鎖など)が必要
→ 保存加療では予後不良になることも多い
e. 硬膜腹側の欠損孔が病態に関与する。
→ ✅ 正しい
この疾患の最大の特徴。硬膜の腹側に小さな欠損があり、そこから脊髄が押し出されるようにヘルニア化
→ 画像では脊髄がくの字に前方へ引き込まれているように見えるのが典型的
問61 3歳の男児.3日前より右下肢をかばうようになり前日より歩行困難となった.体温 37.8℃,右股関節の開排制限を認めた.血液所見:白血球12,640,好中球78%.CRP 7.8 mg/dL.両股関節単純X線正面像とMRI T2強調冠状断像を示す. 行うべき対処はどれか.2つ選べ.

a 骨シンチグラフィー検査をする.
b 関節穿刺を行う.
c まず,抗菌薬投与を行う.
d 緊急に関節切開し排膿ドレナージを行う.
e 骨切り術を用いた関節形成術を行う.
解答:b、d
ChatGPT解説:b,d
解説:
問62 60歳の女性.数年前から左股関節痛がある.左股関節単純X線正面像を示す. 最も考えられる疾患はどれか.

a 関節リウマチ
b 大腿骨頭壊死症
c 変形性股関節症
d 急速破壊型股関節症
e 大腿骨寛骨臼インピンジメント
解答:a
ChatGPT解説:d 不正解
解説:
問63 32歳の女性.1年前に特に誘因なく右股関節痛が出現し,徐々に歩行時痛が増悪した.5年前に気管支喘息に対する高用量ステロイド治療の既往がある.身長148 cm,体重60.2 kg,BMI 27.5.歩行には杖を使用している.右股関節単純X線像を示す. 適切な治療方法はどれか.

a 腸骨骨移植術
b 人工骨頭挿入術
c 寛骨臼回転骨切り術
d Core decompression
e 大腿骨頭回転骨切り術
解答:e
ChatGPT解説:e
解説:後方成分が比較的残っているため
進行分類(病期分類)
病期 | 所見 | 臨床的意義 |
---|---|---|
ステージ1(前期) | X線では異常なし。MRIで骨髄浮腫 or low-intensity域 | 診断困難。早期保存療法の適応。 |
ステージ2(前期) | X線で硬化像などの異常を認めるが、骨頭圧潰なし | Core decompressionなど保存的手術が検討される。 |
ステージ3(初期の圧潰期) | 骨頭圧潰あり(crescent signや扁平化) 関節裂隙は保たれている | 骨切り術などの関節温存術が適応。 |
ステージ4(末期) | 二次性変形性股関節症を合併 関節裂隙狭小化・骨頭変形著明 | 人工股関節置換術(THA)の適応。 |
タイプ分類(壊死範囲分類)
タイプ | 壊死範囲 | 特徴 | 圧潰リスク |
---|---|---|---|
A型 | 壊死範囲が小さい(大腿骨頭の内側1/3未満) | 無症候性や自然経過観察も | 低い |
B型 | 壊死が中心部(1/3〜2/3)に存在 | 軽度疼痛、保存療法可能な例も | 中程度 |
C1型 | 壊死が外側荷重部まで及ぶが、関節外側縁には届かない | 症状あり、進行リスク高い | 高い |
C2型 | 壊死が関節外側縁まで達する(最大範囲) | 多くが数年で圧潰、進行 | 非常に高い |
🔍 本症例のタイプ分類:
- 正面像・側面像ともに、壊死が大腿骨頭の広範囲に及び、外側荷重部に明らかに達している
- 骨頭の外縁に変形が及び、扁平化あり
→ よって、タイプ分類は「C2型」
問64 変形性股関節症について正しいのはどれか.3つ選べ.
a わが国の有病率は欧米より高い.
b Cam変形は発生の危険因子である.
c 患側および対側の変形性膝関節症の発症リスクが高い.
d 前股関節症ではCE角10度未満で病期が進行しやすい.
e 高齢発症では若・中年発症に比して骨盤前傾の頻度が高い.
解答:b,c,d
ChatGPT解説:a.b.c 不正解
解説:
a. わが国の有病率は欧米より高い。
→ ❌【誤り】
実際は、日本は臼蓋形成不全による股関節症は多いが、全体の変形性股関節症の有病率(X線診断ベース)では欧米の方が高いというデータもある。
加えて、欧米では肥満率が高くOAリスクも高いため、有病率は同程度~欧米がやや高いとされる報告もあり、
教科書的にはこの設問では誤り扱いされやすい。
b. Cam変形は発生の危険因子である。
→ ✅【正しい】
Cam型FAI(大腿骨頸部の突出)は、臼蓋唇や関節軟骨を繰り返し衝突させ、将来的にOAを発症させる。
よって、明確な危険因子とされている。
c. 患側および対側の変形性膝関節症の発症リスクが高い。
→ ✅【正しい】
股関節疾患による歩行異常は、荷重バランスの乱れから膝関節への負荷増大を引き起こす。
特に長期的な慢性OAでは、対側のOAや膝への波及が問題となる。
d. 前股関節症ではCE角10度未満で病期が進行しやすい。
→ ✅【正しい】
「前股関節症」とは、X線所見上ではまだOAではないが、臼蓋形成不全により症状が出始めている状態を含む概念。
CE角10度未満は重度の臼蓋形成不全を示し、明らかにOAへの進行リスクが高い。
e. 高齢発症では若・中年発症に比して骨盤前傾の頻度が高い。
→ ❌【誤り】
加齢により骨盤は後傾する傾向がある。
問65 一過性大腿骨頭萎縮症について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 高齢女性に好発する.
b 骨代謝異常が原因である.
c 自然経過で骨萎縮が改善する.
d 骨頭の病理組織像で炎症所見を認める.
e MRI T1強調像で骨頭から頚部にびまん性の低信号域を認める.
解答:c,e
ChatGPT解説:c,e
解説:
✅ 一過性大腿骨頭萎縮症とは?
- 30〜50歳の男性、または妊娠後期の女性に好発(※高齢女性は少ない)
- 原因不明だが、一過性の骨髄浮腫による痛みと可逆的な骨密度低下
- 数か月以内に自然軽快する良性の病態
- 壊死や炎症ではないが、MRI上は骨壊死と鑑別困難な場合もある
b. 骨代謝異常が原因である。
→ ❌【誤り】
骨代謝異常(たとえば甲状腺機能異常や副甲状腺など)は関係なく、原因は不明(idiopathic)
一部では血流障害・神経因性浮腫の関与が示唆されているが、代謝異常とは無関係
問66 症候性変形性膝関節症について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 総死亡リスクが上昇する.
b 関節液のヒアルロン酸分子量が上昇する.
c 臨床スコアの効果判定はMCIDを指標とする.
d Rosenberg撮影は膝蓋大腿関節の評価に用いる.
e PRP (platelet-rich plasma)療法は第Ⅲ種再生医療等技術に該当する.
解答:a,c
ChatGPT解説:a.c
解説:
b. 関節液のヒアルロン酸分子量が上昇する。
→ ❌ 誤り
OAでは滑膜の炎症や滑膜細胞機能障害により、関節液中のヒアルロン酸は分子量が低下(分解亢進)、粘性・弾性が低下、そのため高分子ヒアルロン酸製剤を補う治療が行われる
c. 臨床スコアの効果判定はMCIDを指標とする。
→ ✅ 正しい
MCID(Minimum Clinically Important Difference)=最小臨床的重要差
治療介入における効果判定指標として、VAS・WOMACスコア・KOOSなどに対してMCIDを設定
単に統計的有意差ではなく、患者が「良くなった」と実感する最小の差を表す
e. PRP (platelet-rich plasma)療法は第Ⅲ種再生医療等技術に該当する。
→ ❌ 誤り
PRP療法は「第Ⅱ種再生医療等技術」に分類される(厚労省基準)
第Ⅲ種は幹細胞を用いるなど、より高リスクな再生医療技術
問67 術後右膝単純X線正面および側面像を示す. 正しいのはどれか.2つ選べ.

a 脛骨後傾角が増大しやすい.
b 目標アライメントへの矯正角度調整が難しい.
c 矯正角度が小さいときに用いられる骨切り術である.
d 術後に膝蓋大腿関節の変形性関節症が進行しやすい.
e 女性であることは術後成績不良のリスク因子である.
解答:b,e
ChatGPT解説:a,d 不正解
解説:高位脛骨骨切り術
本症例はClosedwedge法で行ってますが、ChatGPTはOpenwedgeと勘違いしてました。
✅ 選択肢再評価(CWHTOとして)
a. 脛骨後傾角が増大しやすい。
→ ❌【誤り】
CWHTOではむしろ後傾角は減少する(posterior slope 減少傾向)
OWHTOでは増加しやすいため、この選択肢はOWHTOの記述
b. 目標アライメントへの矯正角度調整が難しい。
→ ✅【正しい】
CWHTOは骨切除量で矯正を決定するため、術中の微調整が難しい
c. 矯正角度が小さいときに用いられる骨切り術である。
→ ❌【誤り】
CWHTOはむしろ大きな矯正角度に対応しやすい
小さい矯正角度にはUKAやOWHTOが適する場合が多い
d. 術後に膝蓋大腿関節の変形性関節症が進行しやすい。
→ ❌【誤り】
膝蓋骨の位置はCWHTOではあまり下がらず、Patellofemoral OAはOWHTOの方が問題になりやすい
e. 女性であることは術後成績不良のリスク因子である。
→ ✅【正しい】
一部研究で女性は骨密度の問題や筋力低下の影響を受けやすく、男性よりも術後の満足度が低下する傾向が報告されている
問68 膝関節特発性骨壊死について誤っているのはどれか.2つ選べ.
a 側例より両側発症例が多い.
b 半月板後根損傷により発生する.
c 軟骨下骨脆弱性骨折が主要因である.
d 変形性膝関節症と比較し,疼痛は軽度である.
e 半月板セントラリゼーション法は病変部への負荷を軽減させる.
解答:a,d
ChatGPT解説:a,d
解説:
「壊死」ではなく、「骨折(脆弱性骨折)」としての理解が進んでいる
問69 外反母趾について正しいのはどれか.
a 母趾は回外する.
b 男性患者の割合は5%未満である.
c 母趾背外側趾神経の絞扼が疼痛の原因となる.
d 外反母趾角20度以上30度未満が中等症に分類される.
e 第2,3中足趾節(MTP)関節の底側に有痛性胼胝が生じる.
解答:e
ChatGPT解説:c,d 不正解
解説:
e. 第2,3中足趾節(MTP)関節の底側に有痛性胼胝が生じる。
→ ✅ 正しい
外反母趾により第1中足骨の内反(=母趾の外反)→ 第1MTP関節の荷重減少
結果として第2・3MTP関節に相対的過荷重がかかるようになる
📌 これは臨床上よく見られる合併症です。
a. 母趾は回外する。
→ 誤り:回内(pronation)するのが正しい。
b. 男性患者の割合は5%未満である。
→ 誤り:男性の割合は5〜10%とされる。
✅ 外反母趾のHVAによる重症度分類(日本整形外科学会基準)
重症度 | 外反母趾角(HVA) | 解説 |
---|---|---|
正常 | ≦15° | 臨床症状なし。整形学的にも正常範囲。 |
軽度 | >15° かつ ≦20° | 外反傾向あるが変形軽度。症状も軽度。 |
中等度 | >20° かつ ≦40° | 見た目の変形明瞭。痛みや胼胝も出現しやすい。 |
重度 | >40° | 明らかな外反+重度の痛みや歩行障害を伴うことも多い。 |
問70 足底腱膜炎について正しいのはどれか.3つ選べ.
a 男性に多い.
b 中年以降に好発する.
c 足底腱膜は菲薄化する.
d 踵部内側に圧痛がある.
e 起床直後の歩行開始時の疼痛が特徴的である.
解答:b,d,e
ChatGPT解説:b,d,e
解説:
a. 男性に多い。
→ ❌【誤り】 実際には女性にやや多いとされており、特に40~60歳代の女性に好発
b. 中年以降に好発する。
→ ✅【正しい】 40〜60歳をピークに、中年以降での発症が多い
原因は加齢に伴う足底腱膜の変性・機械的負荷と考えられている
c. 足底腱膜は菲薄化する。
→ ❌【誤り】 病態は炎症や微細損傷、変性による肥厚(=肥大)が主体
d. 踵部内側に圧痛がある。
→ ✅【正しい】 踵骨内側結節(足底腱膜の起始部)に圧痛を認めるのが特徴的
e. 起床直後の歩行開始時の疼痛が特徴的である。
→ ✅【正しい】 「スターティングペイン(first-step pain)」と呼ばれ、最も典型的な症状
問71 皮下断裂を生じやすい筋腱はどれか.3つ選べ.
a 棘上筋腱
b 上腕二頭筋長頭腱
c 上腕三頭筋
d 前脛骨筋腱
e アキレス腱
解答:a,b,e
ChatGPT解説:a,b,e
問72 直接骨折治癒として正しいのはどれか.2つ選べ.
a 解剖学的整復を要する.
b 仮骨形成はみられない.
c 骨幹端部粉砕骨折の治癒過程でみられる.
d プレート直下の皮質骨は骨硬化を生じる.
e 髄内釘固定後にみられる骨折治癒過程である.
解答:a,b
ChatGPT解説:a,b
解説:
区分 | 概要 | キーワード |
---|---|---|
間接治癒(indirect healing) | 一般的な骨折治癒様式。仮骨(cartilaginous or bony callus)形成を経て治癒 | 仮骨形成あり、微小動揺許容 |
直接治癒(direct healing/一次治癒) | 極めて安定かつ解剖学的に整復された状態でのみ起こる。仮骨形成なし | 仮骨なし、Havers管を介したリモデリング |
問73 バットレスプレート(支えプレート)固定を考慮すべき骨折はどれか.
a 鎖骨骨折
b 骨盤輪骨折
c 上腕骨遠位端骨折
d 脛骨プラトー骨折
e 大腿骨骨幹部粉砕骨折
解答:d
ChatGPT解説:d
問74 28歳の男性.1年前に右下腿骨骨折に対して手術が行われたが疼痛と歩行障害が残存している.受傷後1年時の右下腿単純X線正面像,側面像,脛骨CT冠状断像,矢状断像を示す.適切な治療法はどれか.

a Masquelet 法
b 血管柄付き遊離腓骨移植術
c 髄内釘を抜去しより長く太い髄内釘に入れ替え
d 髄内釘抜去後に脛骨の変形を矯正しロッキングプレート固定
e 髄内釘の遠位横止めスクリューを抜去しダイナミゼーション
解答:d
ChatGPT解説:c 不正解
解説:
こういうのはまだ難しそうですね。ChatGPTがもう少し医療文献データを読み込めば解答可能になると思われる。
問75 受傷後早期に手術を行うべきなのはどれか.
a Anderson I 型の歯突起骨折
b 外側塊の転位が5 mmの環椎破裂骨折
c 環椎の前方転位が4 mmの環軸関節回旋位固定
d 非骨傷性のASIA impairment scale Cの頚髄損傷
e C2/3 椎間のすべりが2 mmの外傷性軸椎すべり症
解答:d
ChatGPT解説:d
解説:
b. 外側塊の転位が5 mmの環椎破裂骨折
→ ❌【保存治療が基本】
外側塊の転位が7 mm未満であれば、環椎-軸椎靱帯複合体が保持されていると考えられ、保存的治療可能
e. C2/3椎間のすべりが2 mmの外傷性軸椎すべり症
→ ❌【すべり量2 mmは軽度】
通常、3.5 mm以上 or 不安定性所見 or 神経症状ありで手術検討
🆕 2024年 AO Spine ガイドラインの主な変更点
✅ 24時間以内の早期除圧術の推奨
対象:すべての成人脊髄損傷(SCI)患者(損傷レベルや重症度を問わず)
推奨グレード:エビデンス中等度/強い推奨
根拠:ASIA Motor ScoreやAISグレードの改善(6〜12か月追跡)
⚠️ 超早期(4〜8時間以内)の手術について
現時点では十分な根拠が得られておらず、推奨は控えられています。さらなる研究が必要とされている。
🔍 実臨床でのポイント
非骨傷性でも、脊髄の圧迫(椎間板・靭帯肥厚・骨棘など)があれば、早期除圧で転帰改善が期待されるため、迅速な診断と対応が求められる。

ChatGPTの正答率18/25(72%)!!
受験生の上位5%には入る成績ですね




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