問51
Heberden 結節について正しいのはどれか。2つ選べ。
a. 中年男性に好発する。
b. 乾癬性関節炎との鑑別を要する。
c. 50%に Bouchard 結節を合併する。
d. X線検査で関節裂隙狭小化を認めることは稀である。
e. 合併する DIP関節の粘液嚢腫に対して関節包・骨棘切除を行う。
正解: b, e
解説:
- 中年女性に好発。
問52
小児に生じる環軸関節回旋位固定について正しいのはどれか。2つ選べ。
a. 10%に脊髄障害が生じる。
b. 発症要因として上気道感染症がある。
c. 頚部筋緊張異常ジストニアが原因である。
d. 難治例には胸鎖乳突筋の筋切り術を行う。
e. 椎間関節の変形は症状再発の危険因子である。
正解: b, e
解説:
- 脊髄障害は基本生じない
- 上気道感染症後に発症することが知られており、Grisel症候群と呼ばれる 。
- 難治例に対しては、通常は徒手整復や牽引が試みられ、それでも改善しない場合に環軸関節固定術などが考慮される。
問53
頚椎症性脊髄症について誤っているのはどれか。
a. 運動麻痺のみを呈することがある。
b. 高齢者ではC3/4 高位障害がもっとも多い。
c. 椎弓形成術では術後 C5麻痺が1%に生じる。
d. 発育性脊柱管狭窄は脊髄症の発症に関与する。
e. MRI 脊髄横断像における snake-eye sign は脊髄灰白質障害を示唆する。
正解: c
解説:
- 頚椎症性脊髄症は、感覚障害を伴わず運動麻痺のみを呈することがある 。
- 高齢者では、C3/4レベルの病変による高位障害(手の巧緻運動障害など)が増加傾向 。
- 椎弓形成術後のC5麻痺(C5根症)の発生頻度は5-10%程度。
- e:脊髄前角がT1low,T2highとなり蛇の眼のように見えること。予後不良の所見とされている
問54
特発性側弯症の単純X線画像評価で誤っているのはどれか。2つ選べ。
a. 全脊椎撮影を行う
b. 立位X線像が必要である。
c. 椎体回旋は椎体の形状で判断する。
d. 骨成熟度は Risser grade で推定する。
e. Cobb 角は上位終椎下面と下位終椎上面の接線のなす角である。
正解: c, e
解説:
- 椎体回旋はpedicle(椎弓根)の位置や形態で評価される(Nash-Moe法など)
- Cobb角は、カーブの上位終椎の上面と下位終椎の下面の接線がなす角 。
問55
胸椎後縦靭帯骨化症について誤っているのはどれか、2つ選べ。
a. 中~下位胸椎が好発部位である。
b. 緩徐に症状が進行する症例が多い。
c. 黄色靭帯骨化症を合併していることが多い。
d. 胸部脊髄症を呈すれば、手術が適応となる。
e. 後方除圧術に固定術を併用する必要性は低い。
正解: a, e
解説:
- a:胸椎黄色靭帯骨化症は上・下位腰椎に、後十字靭帯骨化症は上・中位胸椎に多い
- 胸椎の後方除圧術(椎弓切除術など)を行うと胸椎の不安定性が増すリスクがあるため、多くの場合固定術を併用する必要性が高い 。
問56
70歳の男性、腰痛および会陰部と下肢のしびれを主訴に来院した、最近は100m程度の歩行で会陰部と下肢にしびれが生じ、歩ける距離が次第に短くなってきた。腰椎単純 MRIのT2強調矢状断像と横断像を示す、本症例で起こりうるのはどれか。2つ選べ。

a. Babinski 反射陽性
b. Jackson テスト陽性
c. アキレス腱反射の低下
d. 長母趾伸筋の筋力低下
e. 大腿神経伸展テスト陽性
正解: c, d
解説: 脊柱管狭窄症
- 大腿神経伸展テスト(Femoral Nerve Stretch Test)はL2-4神経根の障害を示唆。
問57
腰痛の予防として有用でないのはどれか。2つ選べ。
a. 運動療法
b. コルセット
c. 認知行動療法
d. 職場環境の改善
e. 雇用前のメディカルチェック
正解: b, e
問58
25歳の男性、1年間続く腰痛を主訴に受診した、腰椎斜位X線像を示す、誤っているのはどれか。

a. L4が病変である。
b. 罹患部位は椎弓である。
c. 疲労骨折と考えられている。
d. 保存療法による癒合は期待できない。
e. 成長期のスポーツ障害によるものが多い。
正解: b
解説: 腰椎分離症
- X線像で病変がL4に示されていると仮定すると、「L4が病変である」は正しい可能性がある。
- 腰椎分離症の罹患部位は椎弓のpars interarticularis(椎弓間部)。
問59
硬膜内髄外に発生する神経鞘腫について誤っているのはどれか、2つ選べ。
a. 前根より後根発生が多い、
b. 腫瘍内に石灰化がみられる。
c. 硬膜内髄外腫瘍の中でもっとも多い。
d. 造影MRI dural tail sign がみられる。
e. 脊柱管内・外に発育すると砂時計腫となる。
正解: b, d
解説:
神経鞘腫(Schwannoma)は、末梢神経のシュワン細胞から発生する良性腫瘍。
- 脊髄神経の神経根から発生し、感覚神経である後根からの発生が多い 。
- 腫瘍内に石灰化は通常みられない。石灰化は髄膜腫などで見られることがある。
- 硬膜内髄外腫瘍(脊髄の外側、硬膜の内側に発生する腫瘍)の中では、神経鞘腫と髄膜腫が最も多く、神経鞘腫が全体の約30%を占め最も多い 。
- d:dural tail sign =腫瘤の辺縁が厚した硬膜と連続。髄膜腫でみられる。
- 脊柱管内から椎間孔を通り、脊柱管外へと発育し、砂時計の形になることから「砂時計腫」と呼ばれる。
問60
脊椎に発生した骨巨細胞腫について誤っているのはどれか。2つ選べ。
a. 放射線治療が奏功する。
b. 50-60歳代に好発する。
c. 腫瘍脊椎骨全摘術の適応がある。
d. デノスマブ(抗 RANKL 抗体)が有効である。
e. 単純X線像の特徴的所見に soap bubble appearance がある。
正解: a, b
解説: 骨巨細胞腫
骨巨細胞腫(Giant Cell Tumor of Bone: GCTB)は、良性だが局所浸潤性が強く、再発しやすい骨腫瘍。
- 骨巨細胞腫は放射線治療への感受性は低く、あまり奏功しない 。好発年齢は20〜40歳代 。
問61
12歳の男児、身長160cm,体重63kg. 柔道部に所属し活発に活動している。3か月前にとくに誘因なく左大腿部から膝周囲の疼痛が出現した、近医を受診したが膝関節の単純X線所見に異常がなく経過観察されていた、歩行時痛と跛行が増悪したため紹介受診となった、初診時の単純X線両股関節正面像と側面像を示す。この症例について誤っているのはどれか。2つ選べ。

a. 慢性型(安定型)に分類される。
b. 左股関節を他動的に屈曲すると外旋を伴う。
c. 確定診断後は保存的治療が第一選択となる。
d. 診断に単純X線側面像のKlein’s line が有用である。
e. 固定スクリューの関節内穿破は軟骨溶解のリスクとなる。
正解: c, d
解説: 大腿骨頭すべり症(Slipped Capital Femoral Epiphysis: SCFE)
- a:症状が3か月前から継続して大してずれてないので「慢性型(安定型)」に分類される 。
- b:Drehmann徴候
- c:現在は手術がメイン。後方傾斜30°以下ならピンニング。30-60°でSouthwick転子下骨切り、60°以上で大腿骨回転骨切りを検討
- d:Klein`s line は正面像での頚部外側の延長線
問62
特発性大腿骨頭壊死症の診断について誤っているのはどれか。2つ選べ。
a. 3次元的な壊死範囲の判定にはCTが有用である。
b. 骨シンチグラムは多発性骨壊死の検索に有用である。
c. 単純X線像における crescent sign は壊死の修復像である。
d. 病理組織では壊死部周囲から線維性肉芽組織の進入が観察される。
e. 副腎皮質ステロイドパルス療法後2週間でMRI画像の変化が観察される。
正解: c, e
解説:
- 3次元的な壊死範囲(特に骨頭の塌陷の程度)の判定には、CTが有用 。
- 骨シンチグラムは、全身の骨代謝を反映するため、特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)の多発性病変(両側性や他の関節の壊死)の検索に有用 。
- 単純X線像におけるcrescent sign(三日月状影)は、壊死した骨頭の軟骨下骨折を示唆する所見。
- 病理組織では、壊死部の周囲から、壊死骨を吸収し再骨化を促すための線維性肉芽組織の進入が観察される 。
- e:ステロイド投与後おおよそ3か月、早いもので1か月程度でMRI上band patternが見られる。
問63
32歳の女性。主訴は右股関節痛、内科的既往症はなく嗜好品もない。2年前に登山中に滑落して受傷した、翌日、ヘリコプターで救助され、搬送先の病院で右股関節脱臼と診断されて非観血的整復術とその後の保存的治療を受けた、治療後、問題なく通常に生活していたが、3か月前に歩行時の右股関節痛を発症して受診した、諸検査の結果、右大腿骨頭壊死症と診断され手術治療が行われた、初診時および手術後の両股関節正面単純X線写真を示す、この症例について正しいのはどれか。3つ選べ。

a. 壊死発生は股関節脱臼と関連する.
b. 術前の壊死の病期は stage 3である。
c. 術前の壊死の病型はtype C-2である。
d. 疼痛の発症時期は壊死発生時期に一致する。
e. 行われた手術の目的は骨頭荷重部健常域の拡大である。
正解: a, b, e
解説: 外傷性股関節脱臼後に発症した大腿骨頭壊死症(ONFH)
問64
人工股関節全置換術について誤っているのはどれか。3つ選べ。
a. 殿筋内脱臼股例には用いられない。
b. 後方系進入における術後脱臼率は前方系進入より低い。
c. 高分子架橋ポリエチレンは、従来のポリエチレンと比較して摩耗が少ない。
d. 32mm以上の骨頭は28mm以下の小さな骨頭と比較して術後脱臼が少ない。
e. メタルオンメタル関節摺動面の摩耗量は、メタルオンポリエチレンと比較して少ない。
正解: a, b, e
解説:
- 高分子架橋ポリエチレン(Highly cross-linked polyethylene)は、従来のポリエチレンと比較して、摩耗量を大幅に低減することが示されている 。
- 骨頭径が大きいほど、インプラントの安定性が増し、術後脱臼率が低いことが知られている。32mm以上の骨頭は、28mm以下の小さな骨頭と比較して術後脱臼が少ない 。
問65
46歳の女性 4年前に右股関節痛を自覚した。30分位の立位で疼痛が出現する。股関節造影検査を示す、診断はどれか。

a. 骨軟骨腫
b. 軟骨芽細胞腫
c. 滑膜骨軟骨腫症
d. 離断性骨軟骨炎
e. 腱滑膜巨細胞腫びまん型(色素性絨毛結節性滑膜炎)
正解: c
解説: 滑膜骨軟骨腫症(Synovial Chondromatosis)
- 滑膜骨軟骨腫症は、関節包内の滑膜が軟骨化生を起こし、多数の軟骨性の遊離体(関節ねずみ)を形成する疾患。
問66
変形性膝関節症について誤っているのはどれか、2つ選べ、
a. 関節液は淡黄色透明を呈する。
b. 軟骨下骨壊死がその病態である。
c. 炎症マーカーは異常高値を呈する.
d. 日本では大部分が内反変形を呈する。
e. 日本では一次性の関節症が大部分を占める。
正解: b, c
問67
68歳の女性。主訴は左膝痛である。半年前より徐々に左膝痛増強,階段昇降,運動時に特に疼痛を自覚する、X線正面像,MRIT2強調脂肪抑制冠状断像を示す、手術的治療として、最も適切でないのはどれか。

a. 関節デブリドマン
b. 大腿骨顆上部骨切り術
c. 単顆型人工膝関節置換術
d. ドーム型高位脛骨骨切り術
e. 閉鎖式楔状高位脛骨骨切り術
正解: b
問68
膝関節に発生する骨壊死に関連するのはどれか。2つ選べ。
a. 膝蓋骨脱臼
b. 血液抗凝固因子投与
c. 全身性エリテマトーデス
d. 膝関節周囲放射線照射療法
e. 副腎皮質ステロイド剤膝関節内投与
正解: c, d
解説: 膝関節に発生する骨壊死
問69
手術を要することがないのはどれか。
a. 外脛骨障害
b. 三角骨障害
c. 足根骨癒合症
d. Freiberg 病
e. Sever 病
正解: e
解説: 小児の足部疾患における治療方針に関する問題
- a:外脛骨摘出術が必要となることがある。
- b:三角骨摘出術が検討される。
- 足根骨癒合症は、足の骨が先天的に癒合している状態で、疼痛や変形、足関節可動域制限が生じる場合に癒合部の切離術が必要となることがある。
- Freiberg病は、第2中足骨頭の骨壊死で、重症例や保存療法が無効な場合に骨切り術などが検討される。
- Sever病(シーバー病)は、踵骨骨端症とも呼ばれ、踵骨の成長軟骨板への機械的ストレスによって生じる炎症である。これは自然に治癒する良性の疾患であり、手術を要することはない 。治療は安静、ストレッチ、靴の調整などの保存療法が中心。
問70
先天性内反足の治療で正しいのはどれか。2つ選べ、
a. ギプス矯正では尖足を矯正する。
b. Ponseti 法が標準的な治療である。
c. 手術治療は学童期に入ってから行う。
d. 出生後3か月以上してから治療を開始する。
e. ギプス矯正後は Denis Browne 副子を装着する。
正解: b, e
解説:
- a:先天性内反足のギプス矯正ではまず内転、内反、回外などの足部変形を矯正し、最後に尖足(足関節の底屈位)を矯正する。
- b:Ponseti法(ポンセッティ法)が先天性内反足の標準的な治療法であり、特殊な手技による連続ギプス矯正とその後のアキレス腱切腱術、装具療法を組み合わせる 。
- c:Ponseti法で改善しない難治例や再発例に対して、早期(通常は乳幼児期)に行うことが推奨される。学童期に入ってから行うのは誤りである。
- d:出生後できるだけ早期(生後数日〜数週間以内)に開始する。
- e:ギプス矯正後は、再発予防のためにDenis Browne副子(デニスブラウン副子)などの装具を長期間装着する。
問71
圧挫症候群(crush syndrome)について誤っているのはどれか、2つ選べ、
a. 全血輸血を行う。
b. 早期より局所の腫脹がみられる。
c. ミオグロビンは尿中に排出される。
d. 放置すると急性腎不全が生じやすい。
e. 輸液はカリウムを含まないものを用いる。
正解: a, b
解説:
- a:圧迫解除後は脱水や腎障害の進行を防ぐために大量の輸液が必要となるが、全血輸血は通常行わない 。むしろ、横紋筋融解によってカリウムなどの電解質が血液中に放出され高カリウム血症を呈することがあるため、カリウムを含まない輸液が選択される。
問72
開放骨折の初期治療について正しいのはどれか。
a. ターニケットを使用しない。
b. 露出した骨を速やかに整復する。
c. デブリドマンは創縁から中心へ行う。
d. 損傷部をポビドンヨード液で洗浄する。
e. 陰圧閉鎖療法は組織再建の代替手法となる。
正解: c
解説: 開放骨折
- デブリドマン(創面清浄化)は、汚染された創縁から中心(骨折部)へと行う 。汚染物質を内側に持ち込まないようにするため。
- d;ポビドンヨード液などの消毒薬は組織障害性があるため、創内洗浄には推奨されない。
- e:組織の浮腫軽減、血流改善、肉芽形成促進に有用であるが、組織再建の補助的な手法であり、代替手法とはならない。
問73
骨折の合併症について正しいのはどれか。2つ選べ、
a. 外傷後異所性骨化は早期摘出術を行う。
b. 区画症候群は骨折を伴わない外傷にも発生する。
c. 複合性局所疼痛症候群の治療は局所安静である。
d. 外傷性急性凝固障害では線溶亢進型 DICの病態となる。
e. 脂肪塞栓症候群のGurd 診断基準では頻脈が大基準である。
正解: b, d
解説:
- a:外傷後異所性骨化は、関節周囲に骨が異常形成される合併症で可動域制限の原因となる。早期摘出は再発リスクが高いため、骨化が成熟してから行うのが原則。
- b:区画症候群は、骨折だけでなく、挫傷、熱傷、過度な運動など、骨折を伴わない外傷でも発生しうる 。
- c:複合性局所疼痛症候群(CRPS)の治療は、早期からのリハビリテーションと疼痛管理(薬物療法、神経ブロックなど)が中心であり、局所安静は悪化させる可能性があるため推奨されない。
脂肪塞栓症候群(FES)Gurd診断基準
項目分類 | 症状・所見 | 詳細・補足 |
主要項目 | 1. 呼吸器症状 | ・呼吸困難、頻呼吸、低酸素血症(PaO2<60 mmHg @ FiO2=0.4) |
2. 神経症状 | ・意識障害(錯乱、傾眠、昏睡など)、精神状態の変化 | |
3. 点状出血(Petechial rash) | ・腋窩、頚部、胸部上部、結膜などに見られる小さな点状の出血。FESに特徴的。 | |
— | — | — |
副次項目 | 1. 発熱 | ・体温 ≥38.5∘C |
2. 頻脈 | ・心拍数 ≥110 bpm | |
3. 網膜の脂肪塞栓 | ・眼底検査で確認される | |
4. 尿中の脂肪球 | ||
5. 痰中の脂肪球 | ||
6. 貧血 | ・ヘモグロビン値の低下 | |
7. 血小板減少症 | ・血小板数の減少 | |
8. 赤血球沈降速度(ESR)亢進 | ・≥71 mm/hour | |
9. 心電図異常 | ・右心負荷の兆候など | |
10. 腎機能障害 |
診断基準
以下のいずれかの組み合わせを満たす場合に、脂肪塞栓症候群と診断されます。
- 1つ以上の大基準 + 4つ以上の小基準
または - 2つ以上の大基準
問74
小児の骨折について正しいのはどれか。
a. 成人に比べて頻度が低い。
b. 急性塑性変形は骨折線を伴わない。
c. 若木骨折は骨折線が完全に骨を横断する。
d. 長管骨骨折後過成長は主に骨幹部で生じる。
e. 屈曲変形に比べて回旋変形は矯正されやすい。
正解: b
解説:
- 小児の骨は成人より骨折しやすく、頻度は成人より高い。
- d;主に骨端線近傍の血流増加により生じる。
問75
脊椎、脊髄損傷の初期診断について正しいのはどれか、2つ選べ。
a. 頚椎動態撮影はルーチンで行う。
b. 脊髄ショックの時期は痙性麻痺を呈する。
c. 前額部の創傷は頚椎の伸展型損傷を示唆する。
d. Sacral sparing(仙髄領域の回避)は完全麻痺を示唆する。
e. 腹部の横走する皮下血腫はシートベルト型損傷を示唆する。
正解: c, e
解説:
- b:脊髄ショックの時期(受傷直後)は、脊髄の機能が一時的に完全に停止するため、弛緩性麻痺を呈する。痙性麻痺はショックからの回復後に現れる。
- c:Sacral sparing(仙髄領域の回避)=仙髄領域の感覚(肛門周囲の知覚、深部圧覚など)や運動機能が保たれている状態を指し、これは不全麻痺を示唆する。
問76
78歳の男性、自宅内で転倒後に頚背部痛が生じ、徐々に手のしびれと歩行困難も出現してきたため受傷翌日に受診した、CT 矢状断像(左)および MRI T2強調矢状断像(右)に示す。この症例について誤っているのはどれか。2つ選べ、

a. 高エネルギー損傷である。
b. 前縦靭帯が断裂している。
c. 保存的治療が原則である。
d. 椎体内部は骨粗鬆症化している。
e. 受傷前から頚椎可動域制限がある。
正解: a, c
問77
84歳の女性、右肩痛の訴えあり近医を受診したところ、右肩関節脱臼を指摘された、徒手的整復を試みられるも整復不可であったため、そのまま三角巾装着を指示され1か月経過している。右上肢全体に浮腫がみられ、下垂手を呈している。セカンドオピニオン目的に受診した、新たに撮影した単純 CT短軸像と 3D-CT画像を示す、正しいのはどれか。2つ選べ。

a. 引き続き経過観察とする。
b. 直視下での整復は容易である。
c. 骨頭に Hill Sachs 損傷を認める。
d. 可及的早期に徒手的整復を試みる。
e. 反転型人工肩関節全置換術の適応である。
正解: c, e
解説:陳旧性肩関節脱臼
- Hill-Sachs損傷(上腕骨頭の後外側部の陥没骨折)
- 陳旧性脱臼で整復困難、神経損傷や関節機能不全を伴う場合、特に高齢者では反転型人工肩関節全置換術(RSA)が適応となることがある 。
問78
転位のある上腕骨外科頚2-パート骨折について誤っているのはどれか、2つ選べ。
a. 骨頭は後方内反転位を生じる。
b. 三角巾の固定で早期運動療法を行う。
c. 手または肘からの介達外力によって生じる。
d. 下垂位での肩関節前後方向と軸射撮影を行う。
e. 横止め髄内釘による内固定のよい適応である。
正解: b、d
解説: 上腕骨外科頚骨折
問79
橈骨遠位端骨折について正しいのはどれか。2つ選べ。
a. 関節内骨折は高齢者でも手術療法が推奨される。
b. 合併する尺骨茎状突起骨折は内固定が必要である。
c. 本邦における女性の発生率は男性の1.5倍程度である。
d. 掌側ロッキングプレート固定はギプス固定と比べて早期機能回復に有用である。
e. 骨粗鬆症に関連する橈骨遠位端骨折の発生年齢のピークは大腿骨頚部骨折より若年である。
正解: d, e
解説: 橈骨遠位端骨折
- b:遠位橈尺関節の脱臼や不安定性がある場合。下図のタイプⅣだと特に不安定性が出やすい。

- c:2倍
問80
69歳の女性、自動車運転中の自損事故にて受傷した、初療室での血圧60/32mmHg, 心拍数136回/分,10L酸素投与下でのSpO2は100%である。顔面の挫創以外に明らかな外傷は認められない。単純X線像を示す。初期治療として誤っているのはどれか。

a. 経動脈塞栓術
b. 骨盤創外固定
c. ショックパンツ
d. シーツラッピング
e. 骨盤腔内ガーゼパッキング
正解: c
解説: 不安定型骨盤骨折による出血性ショック
- ショックパンツ(Pneumatic Anti-Shock Garment: PASG)は、下肢や腹部に圧迫を加えて出血を抑制する器具であるが、近年その有効性や安全性に疑問が呈されており、使用は推奨されていない 。
- シーツラッピング(sheet wrapping)は、骨盤をきつく縛ることで骨盤輪を安定させ、出血を抑制する簡易的な方法で、救急現場や初期治療で広く用いられる。
- 骨盤腔内ガーゼパッキングは、骨盤骨折からの出血が大量でTAEなどで止血できない場合に、直接ガーゼを詰めて圧迫止血を行う最終手段である 。
問81
高齢者の転倒後の股関節痛に対して、大腿骨近位部骨折を疑うが、股関節単純X線写真正面像と股関節 CT 水平断像では骨折線がわからない場合、次に実施する検査として誤っているのはどれか。
a. MRI
b. CT MPR
c. 股関節造影
d. 股関節エコー
e. 骨シンチグラフィー
正解: c
問82
受傷時の単純X線像と同部位の1年前の単純X線像を示す、右に示す完全骨折について、誤っているのはどれか。

a. 軽微な外傷に関連する。
b. 遷延癒合をきたしやすい。
c. 10%が前駆症状を自覚する。
d. 原則的に外側骨皮質より始まる横骨折である。
e. 診断確定には大特徴4つを満たすことが必要である。
正解: c
解説: 大腿骨非定型骨折(Atypical Femur Fracture: AFF)
- c:70%以上が前駆症状を自覚する。ちなみに両側性が30%。
- 大腿骨非定型骨折 (Atypical Femur Fracture: AFF) の診断基準は、一般的にAmerican Society for Bone and Mineral Research (ASBMR) の基準が用いられる 。この基準には「大特徴 (Major Criteria)」と「小特徴 (Minor Criteria)」がある 。
大腿骨非定型骨折 (AFF) の診断基準
大腿骨非定型骨折 (Atypical Femur Fracture: AFF) の診断には、主にAmerican Society for Bone and Mineral Research (ASBMR) の基準が用いられる。
カテゴリ | 項目 | 基準 |
大特徴 | 1. 受傷機転 | 軽微な外傷、または誘因なく発生する。 |
(Major Criteria) | 2. 骨折部位 | 大腿骨骨幹部(大転子下から顆上部まで)に位置する。 |
3. 骨折形態 | 外側骨皮質から始まる横骨折または短斜骨折である。 | |
4. 粉砕の有無 | 非粉砕性である(ただし、内側皮質に三角形の骨片がある場合を除く)。 | |
5. 除外項目 | 大腿骨近位部のスパイラル骨折や、顆部への伸展を伴う骨折は除外する。 | |
小特徴 | 1. 薬剤曝露 | 骨粗鬆症治療薬(特にビスフォスフォネート製剤)の長期使用。 |
(Minor Criteria) | 2. 前駆症状 | 前駆痛の存在(鼠径部や大腿部の鈍痛など)。 |
3. 反対側病変 | 両側性骨折の既往、または反対側の大腿骨に骨皮質の肥厚や皮質骨折線が存在。 | |
4. 全身性疾患 | 全身性疾患の合併(糖尿病など)。 | |
5. 電解質異常 | 低リン血症。 |
診断の確定: 大特徴を全て満たすことが必要である。小特徴は診断を支持するものである。
問83
59歳の男性、登山中に滑落して受傷した、受傷より4時間後、登山客に発見され、歩行困難にて搬送された、意識清明で、血圧は170/80mmHg、心拍は100/分であった、左膝関節の腫脹、左下腿の腫脹・他動時痛を認めた、左足背動脈触知不良であったため、下腿の筋区画内圧を測定し、内圧は前方筋区画で58mmHgであった、単純X線像,CTMPRを示す、優先すべきなのはどれか。2つ選べ。

a. 創外固定
b. 血圧の降圧
c. 膝関節 MRI
d. 緊急筋膜切開
e. 関節内骨折観血手術
正解: a, d
問84
17歳の男性、前医で左側頚部の皮下腫瘍切除を受けた直後より、左肩の重苦感, 肩関節挙上障害が生じた、3か月経過観察したが、回復傾向を認めない、左側頚部 (ペンでマーキングした箇所が前医での皮切部位)および、肩をすくめるように指示した時の外観を示す。正しいものはどれか。2つ選べ。

a. 僧帽筋が麻痺している。
b. 胸鎖乳突筋が麻痺している。
c. 肩関節外転機能は保たれている。
d. さらに3か月間は経過を観察する。
e. 神経剥離や神経移植術の適応となる。
正解: a, e
解説: 副神経(第XI脳神経)の損傷による僧帽筋麻痺
- 「肩をすくめる動作」は僧帽筋の機能であり、この障害があれば僧帽筋が麻痺していると判断できる 。これは正しい。
- 胸鎖乳突筋麻痺は生じにくい。
- 僧帽筋麻痺により肩甲骨の安定性が失われるため、肩関節の外転(特に90度以上の挙上)は障害される。。
問85
腕神経叢損傷に関して正しいのはどれか。
a. 節前損傷に対して神経移植術が行われる。
b. 下位型麻痺では肩の外転、肘の屈曲が障害される。
c. 引き抜き損傷ではミエロCTで神経根の圧迫所見が認められる。
d. 術中の体性感覚誘発電位測定は神経根引き抜き損傷の診断に有効である。
e. 肘関節伸展機能再建を目的として部分尺骨神経移行術(Oberlin 法)が行われる。
正解: d
解説:
- a:節後損傷なら検討。節前損傷(神経根が脊髄から引き抜かれている損傷)では、神経の末梢側に神経が残っていないため神経移植術は適応外。この場合は、神経移行術が検討される。
- b:下位型麻痺(Klumpke麻痺など)では、主にC8-T1神経根が損傷され、手の内在筋の麻痺や手指の屈伸障害が主となる。肩の外転や肘の屈曲は主に上位型麻痺で障害される。
- 引き抜き損傷(神経根引き抜き)では神経根が脊髄から引き抜かれるため、ミエロCTでは神経根の欠損や髄膜瘤形成が認められる。
- Oberlin法(尺骨神経の一部を上腕二頭筋神経に移行する手術)は、肘関節屈曲機能の再建を目的として行われるもの。
問86
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)について正しいのはどれか。2つ選べ、
a. 好発年齢は70歳以上である。
b. 喫煙は発症のリスクファクターである。
c. 主な障害部位は短橈側手根伸筋腱の近位付着部である。
d. 診療ガイドラインにおいて理学療法は強く推奨されている。
e. ステロイド局所注射の長期的な投与は強く推奨されている。
正解: c.d
解説: 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- a:好発年齢は30〜50歳代。
- b:関係ない
- e:長期的な効果は限定的であり、繰り返し投与は腱組織の脆弱化を招く可能性があるため、長期的な投与は推奨されない。
問87
手のスポーツ損傷の症状あるいは合併症の組合せとして誤っているのはどれか。2つ選べ。
症状・合併症 | ||
a | ボクサーズナックル | 伸筋腱脱臼 |
b | 小指球ハンマー症候群 | 尺側指血行障害 |
c | 三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷 | 遠位橈尺関節(尺骨)不安定性 |
d | ラガージャージ損傷 | 近位指節間(PIP)関節屈曲障害 |
e | 舟状骨偽関節 | 近位手根列掌側回転型手根不安定症(VISI) |
正解: d, e
解説:
- ボクサーズナックルは、ボクシングなどの衝撃によりMP関節(中手指節関節)の関節包や伸筋腱が損傷し、伸筋腱脱臼や亜脱臼が生じる状態。
- 小指球ハンマー症候群は、小指球部(手のひらの小指側)への反復的な衝撃により尺骨動脈の損傷(閉塞や動脈瘤形成)が生じ、尺側指の血行障害(レイノー現象など)を呈する。
- d:ラガージャージ損傷(Jersey finger)は、ラグビーなどで相手のジャージを掴んだ際に、指を引っ張られて生じる深指屈筋腱の引き抜き損傷である。これによりDIP関節(遠位指節間関節)の屈曲ができなくなる。
- e:舟状骨が掌側に屈曲し月状骨が背側に伸展するDISI(Dorsal Intercalated Segment Instability: 背側介在部不安定症)を呈する。VISIは、主に月状骨と三角骨をつなぐ月状三角骨間靭帯:lunotriquetral ligamentの損傷などで生じる。
問88
ハムストリングスの肉ばなれについて正しいのはどれか。
a. 直達外力による。
b. 再発を繰り返すことはまれである。
c. 損傷部に陥凹を認めることはほとんどない。
d. 筋腹中央部損傷の治療は保存的に行われる。
e. 陸上競技では短距離より長距離の選手に多い。
正解: d
解説: ハムストリングスの肉離れ
- a:多くの場合間接外力によって生じる。
- d:腱付着部損傷や完全断裂の場合は手術が検討されることもある。
問89 (採点から削除)
正解: (採点から削除)
問90
前十字靭帯損傷について正しいのはどれか。2つ選べ、
a. 治療は保存療法が一般的である。
b. 確定診断にはX線検査が有用である。
c. スポーツで生じる膝関節血症の約80%を占める。
d. 放置すると経時的に半月板損傷の有病率が増加する。
e. 非接触型損傷は膝内反が生じて受傷することが多い。
正解: c, d
解説: 前十字靭帯(ACL)損傷
- e:外反
問91
10歳の男児、右膝関節痛を主訴として来院した、初診時膝関節屈曲荷重位での単純X線正面像を示す。この症例について正しいのはどれか。2つ選べ。

a. 骨生検を行う。
b. 円板状半月板の合併を疑う。
c. 観血的治療が第一選択である。
d. 確定診断にはMRIが有効である。
e. 診断の補助として遺伝子診断を用いる。
正解: b, d
解説: 離断性骨軟骨炎(Osteochondritis Dissecans: OCD)
OCDは、関節軟骨とその下の骨が一部壊死し、剥離する病態。
- 円板状半月板の合併がしばしば見られる 。
- 小児期の安定型OCDでは、多くの場合、保存的治療が第一選択となる。
問92
24歳の女性.4か月前に誘因なく左足関節痛が出現し、軽快しないため来院した。足関節 CT 冠状断像、矢状断像を示す、診断、治療について誤っているのはどれか。

a. 足関節捻挫の既往を聴取する。
b. 病変と母床との血流が保たれている。
c. MRIで病変の安定性を評価する。
d. 手術療法では、骨髄刺激法を行う。
e. 保存療法では、装具療法を行う。
正解: b
解説: 距骨骨軟骨損傷(Talus Osteochondral Lesion: TALO)
- TALOの多くは、過去の足関節捻挫や外傷が原因となるため、既往歴の聴取は重要 。
- b:血流障害が病態の中心にある場合が多い
- d:病変部の切除や骨髄刺激法(ドリリングやマイクロフラクチャー)が行われることがある 。
問93
基本的ADL尺度である Barthel index で評価する項目で誤っているのはどれか。
a. 食事
b. 入浴
c. 階段昇降
d. 公共交通機関の利用
e. 整容(洗顔、髪の櫛入れ)
正解: d
解説: Barthel Index(バーセルインデックス)
Barthel Index(バーセルインデックス)は、ADL(日常生活動作)の自立度を評価する国際的に広く用いられている尺度である。基本的ADLの10項目(食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着衣、排便コントロール、排尿コントロール)で構成される。
手段的ADL(IADL)の代表的な8つの項目は電話の使用、買い物、食事の準備、家事、交通手段の利用、服薬管理、金銭管理、外出。
問94
58歳の女性、左変形性股関節症に対して人工股関節全置換術が行われた、翌日より離床訓練を開始し、術後3日目から歩行訓練を開始している。術後10日目にリハビリテーション室から帰室後ベッドで安静にしていたところ突然胸部痛と呼吸困難感が出現した。動脈血ガス分析では酸素分圧の著明な低下が認められ、今後下肢造影CT,胸部造影CTが計画されている。この患者の翌日からのリハビリテーション治療について適切なのはどれか。
a. 呼吸リハビリテーションを追加する。
b. 下肢・足趾の自動運動訓練を追加する。
c. エルゴメーターによる有酸素運動を追加する。
d. 離床訓練,歩行訓練を中止し床上安静とする。
e. 積極的なポジショニング訓練を強化し排痰を促す。
正解: d
解説: 肺血栓塞栓症(PE)
問95
母指以外の指屈筋腱断裂に対する腱縫合後、3週間経過した時点で行われる運動療法について正しいのはどれか。3つ選べ。
a. 罹患指の他動屈曲自動伸展運動
b. 罹患指を含む四指同時他動屈曲運動
c. ハンドグリップを使った握力の増強訓練
d. PIP関節伸展保持での他動DIP 屈曲運動
e. ピンチ力計を用いた罹患指による指尖つまみ運動
正解: a, b, d
解説: 指屈筋腱縫合後のリハビリテーション
腱縫合後2,3週間くらいは縫合部の壊死などが起こって切れやすい時期
問96
上肢装具とその目的の組合せについて正しいのはどれか。3つ選べ。
a. 対立装具 – 示指と中指を対立位に保つ。
b. 逆ナックルベンダー – MP関節の伸展を防止する。
c. 手関節作動式把持装具 – 手関節背屈運動によりつまみ動作を補助する。
d. カックアップスプリント – 下垂手を静的に保持する。
e. balanced forearm orthosis (BFO) – 上肢を可動性のアームで支持しADLを補助する。
正解: c, d, e
解説:
- 対立装具(Oppenheimer Splintなど)は、母指の対立運動を補助し、つまみ動作を可能にする。
- 逆ナックルベンダー(Reverse Knuckle Bender Splint)は、PIP関節の過伸展を防止する装具。MP関節の伸展を防止するのはナックルベンダー。
- 手関節作動式把持装具(Wrist-Driven Flexor Hinge Orthosisなど)は、手関節を背屈させることで、手指の屈筋腱の連動を利用してつまみ動作(把持動作)を補助する装具 。
- カックアップスプリント(Cock-up Splint)は、手関節の背屈位を静的に保持し、橈骨神経麻痺などによる下垂手(wrist drop)を防止する 。
- balanced forearm orthosis (BFO)(バランス型前腕装具)は、肘から上肢全体を可動性のあるアームで支持し、重力の影響を軽減することで、上肢の残存機能を最大限に活用しADL(食事など)を補助する 。
問97
大腿切断後大腿義足を処方された患者について、義足側の立脚相では腰椎前弯の増強から図のような歩容を呈する。本症例に見られるダイナミックアライメントについて適切なのはどれか。2つ選べ。

a. 義足長が長すぎる。
b. 股関節の伸展筋力が弱い。
c. ソケットが外転位となっている。
d. ソケットが内旋位となっている。
e. ソケットの初期屈曲角が不足している。
正解: b, e
解説:
大腿義足使用時の腰椎過前弯を伴う歩容は、義足や切断肢の適合性、筋力、アライメントの不具合によって生じる。
- 義足長が長すぎると、骨盤の挙上(Vaulting)や側方動揺などが生じやすいが、直接的に腰椎過前弯の原因とはなりにくい。
- 股関節の伸展筋力(特に殿筋群)が弱いと、立脚相で股関節を十分に伸展できず、その代償として腰椎の過前弯が生じる 。
- ソケットが外転位となっていると、義足が横に広がり、歩行時の体幹動揺や骨盤挙上が増す。腰椎過前弯とは直接関連しにくい。
- ソケットが内旋位となっているのは、義足の回旋異常を示唆し、捻れ歩行の原因となる。
- ソケットの初期屈曲角が不足していると、義足装着時に股関節が十分に屈曲できず、代償的に腰椎の過前弯が必要となる 。
問98
自動車損害賠償責任保険における後遺障害について誤っているのはどれか。
a. 関節可動域は、健側と患側を計測する。
b. 他覚症状を伴わない痛みは認定の対象外である。
c. 第1級から第14級までの後遺障害が認定される。
d. 脊柱の後弯または側弯の程度により等級を認定する。
e. 傷害がなおったとき(症状固定)とは、症状が安定し治療効果が期待できなくなったときである。
正解: b
解説: 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)における後遺障害の認定基準
- 後遺障害の等級は、最も重い第1級から最も軽い第14級まで設定 。
- 脊柱の後弯または側弯の程度(角度や形態異常)は、脊柱の変形障害として後遺障害の等級認定の判断基準となる
問99
身体障害者障害程度等級で5級に相当するものはどれか。3つ選べ。
a. 体幹の機能の著しい障害.
b. 両上肢のすべての指を欠くもの。
c. 一上肢の肩関節の機能の著しい障害.
d. 一下肢の足関節の機能を全廃したもの。
e. 一下肢が健側に比して三センチメートル以上短いもの。
正解: a, c, d
解説: 身体障害者手帳の障害程度等級
・a:体幹1級:坐位不可 2級:立位不可 3級:歩行不可 4級以下:著しい体幹機能の障害
・e;7級 5センチ以上の脚長差が5級 ちなみに10センチ以上だと4級

問100
介護保険制度における要介護(要支援)認定について誤っているのはどれか。
a. 保険者は都道府県である。
b. 要介護は5段階に区分される。
c. 65歳以上が認定の対象となる。
d. かかりつけ医が主治医意見書を作成する。
e. 調査員が自宅を訪問し、認定調査を行う。
正解: a
解説: 介護保険制度における要介護・要支援認定
- a:市町村および特別区である
- 要介護認定は、要介護1〜5の5段階に区分される。要支援は要支援1、2の2段階 。
- 認定の対象は、原則として65歳以上の高齢者(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの特定疾病に該当する者(第2号被保険者)。
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